2017 Fiscal Year Research-status Report
エイコサペンタエン酸を用いた二次性リンパ浮腫に対する薬物治療法の開発
Project/Area Number |
17K17788
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐野 真規 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (40733514)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / 薬物治療 / エイコサペントエン酸 / ラットモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ浮腫のラット動物モデルの開発に成功し、国際学会(Gordonカンファレンス、世界分子イメージング学会、国際リンパ学会)等に発表し、これまでで最もヒトリンパ浮腫の病態に近い動物モデルとして高い評価を得た。同モデルを用いてリンパ浮腫の病態解明についての研究も進め、線維化を呈する他疾患(肺線維症、肝硬変等)においては、筋線維芽細胞とTGF-β1が重要な役割を担っている。リンパ浮腫においても、急性期に浸潤したマクロファージと、慢性期の筋線維芽細胞からのTGF-β1産生が重要である。 ラットモデルを作成し、術後2週間から6カ月まで、薬物(エイコサペントエン酸)の混餌投与を行った。コントロール群、リンパ浮腫群、リンパ浮腫+薬物投与群を作成し、比較した。薬物投与群では、皮膚中の線維化促進サイトカイン(TGF-β1)の発現は抑制され、皮膚中のコラーゲン増成も抑制された。さらに、薬物投与群では、リンパ浮腫群に比べ、皮下リンパ管が温残され、皮下組織中のリンパ液漏出も消失した。エイコサペントエン酸の、リンパ浮腫による皮膚線維化への有効性を証明した。以上の内容を、日本リンパ学会、日本静脈学会にて報告した。また、現在、FASEB journalへ投稿中である。 さらに、ヒトリンパ浮腫症例に対し、四肢の皮膚を、皮膚硬度計、皮膚弾力計を用いて評価し、健側、患側を比較した。皮膚硬度計では、両群間に有意差を認めなかった。皮膚弾力計では、患側での有意な弾力低下を認めた。皮膚弾力計は、ヒトリンパ浮腫の非侵襲的な進行度・皮膚硬度の評価方法として有効である。以上の内容を、国際リンパ学会、日本リンパ学会にて報告した。また、現在、Journal of vascular surgery へ投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットモデルにおいては、仮説通りの結果が得られた。 ヒトリンパ浮腫症例においては、CT、MRI等の評価も予定していたが、研究への参加症例が集まらなかった。 また、皮膚硬度計では期待した結果が得られなかった。皮膚弾力計では、期待以上の結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
ラットリンパ浮腫モデルへの薬物経口投与による皮膚線維化の抑制効果の検証については、順調であり、今後はデータ解析、学会発表、論文投稿を中心に進める。 ヒトリンパ浮腫の非侵襲的な進行度・皮膚硬度の評価方法を確立については、皮膚弾力計を中心に、さらなる参加症例数が必要である。今後は、データ解析、学会発表、論文投稿、症例の登録を中心に進める。 ヒトリンパ浮腫症例における治療効果の検討については、現在、研究体制の準備中である。今後、参加者を募集予定である。
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