2018 Fiscal Year Research-status Report
Screening for natural compounds modulating circadian rhythm
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17K17797
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中根 右介 名古屋大学, 生命農学研究科(WPI), 特任講師 (40792023)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 概日リズム / ケミカルスクリーニング / 食品関連化合物 / 天然化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
概日リズムは睡眠覚醒リズムのほか、代謝疾患や中枢性疾患、がん、あるいは動物の季節繁殖制御にも深く関わることが知られるため、概日リズムを調節する化合物の創製は動物の生産性向上や疾患治療に応用できることが期待できる。平成29年度では、640の食品関連化合物・天然化合物からなるケミカルライブラリーについて、培養細胞を用いたスクリーニングにより概日リズムを示す時計遺伝子の発現変動に対する影響を評価し、効果の大きさ・作用メカニズムの新規性・食品としての利用可能性の観点から選ばれた化合物について濃度依存性を検討した。 平成30年度では濃度依存性が確認できた化合物について、mPer2Luc knockinマウス由来の肺組織を用いて、組織レベルで観察される時計遺伝子の概日リズムに与える影響を検討した。その結果、有意な周期延長作用が確認できた化合物を一つ同定した。この効果は概日リズムの中枢部位として機能する脳の視交叉上核を含んだ脳スライスでも確認された。 この化合物について、恒暗条件下で観察されるゼブラフィッシュ稚魚の行動の概日リズムに与える影響を検討したところ、ゼブラフィッシュ稚魚が示す行動リズムの周期長に対しても有意な周期延長作用を示すことが確認された。次に、1%および2%の当該化合物含有餌をマウスに各濃度1周間与えたところ、恒暗条件下で示す回転輪活動の概日リズムに対して、2%で有意な周期延長作用が確認された。 以上より平成30年度では、食品関連化合物・天然化合物を用いたスクリーニングの中から、マウス行動レベルで概日リズムに影響を与える食品関連化合物・天然化合物を見出すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度終了時点ですでにマウス回転輪を指標にした行動リズムに影響を与える化合物の同定に成功した。現在、マウス行動レベルで概日リズムへ影響を及ぼすことが確認された化合物については、12時間明期12時間暗期の明暗サイクル条件下において明暗環境下で行動リズムに与える影響を評価するとともに、12時間明期12時間暗期の明暗サイクル条件下において、注目化合物投与後に明暗サイクルを8時間後退させた際に新規サイクルへの同調に必要な日数を評価することで注目化合物の機能性を検討を進めているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在実施中である、同定された化合物の機能性を評価するための複数の行動実験について評価を完遂するとともに、今後は分子生物学、生化学的な方法で当該化合物の概日リズムへの作用機構の検討していく。
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Causes of Carryover |
当初予定していたよりもマウス行動レベルに及ぼす化合物の同定数が少なく、組織実験、ゼブラフィッシュ稚魚実験、マウス行動実験に対する拠出を抑えることができたため。次年度では同定した化合物についてその機能性を評価する複数の行動実験とその作用メカニズム解明のための分子生物学実験および生化学実験を実施するため、今年度生じた次年度使用額をここに充てることとする。
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Research Products
(5 results)