2019 Fiscal Year Annual Research Report
Screening for natural compounds modulating circadian rhythm
Project/Area Number |
17K17797
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中根 右介 名古屋大学, 生命農学研究科(WPI), 特任講師 (40792023)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 概日リズム / ケミカルスクリーニング / 食品関連化合物 / 天然化合物 / 時計遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
概日リズムは睡眠覚醒リズムのほか、代謝疾患や中枢性疾患、がん、あるいは動物の季節繁殖制御にも深く関わる。そのため、概日リズムを調節する化合物の創製は疾患の治療や動物の生産性向上への応用が期待できる。これまでに、640の食品関連化合物から成るケミカルライブラリーについて、概日リズムを駆動する時計遺伝子の振る舞いを観察できる培養細胞(Bmal1-dlLuc U2OS)を用いたスクリーニングを実施した。そこから見出された概日リズムの周期延長作用を示す注目化合物ferulic acidは、末梢組織である肺組織の他、概日リズムの中枢脳領域である視交叉上核(SCN)を含んだ脳スライスでの時計遺伝子発現リズムの周期延長効果、時刻情報の手がかりが一切ない恒暗条件下におけるゼブラフィッシュ稚魚の遊泳速度やマウスの回転輪活動を元にした動物個体の行動リズムにおいても周期延長効果を示した。以上のことから培養細胞を用いたスクリーニングにより見出された当該化合物は、動物個体の行動における概日リズムをも調節可能な化合物である可能性が示された。 そこで本年度は、マウスの行動リズムで有意な周期延長作用を示した当該化合物の混餌投与条件下において、当該化合物が(1)ヒト社会におけるシフトワークを模した明暗サイクル環境下で新規明暗サイクルへの同調に必要な日数を短縮しうるかどうか、(2)一部、ヒト双極性障害における躁状態と似た行動を示す時計遺伝子変異マウス(ClockΔ19マウス)において、躁様行動を改善しうるかどうかを検討した。 (1)においては、明確な同調日数短縮効果を観察することができなかった。(2)で実施した強制水泳試験においては、当該化合物投与によって遺伝子変異マウスが示す短い不動時間を長くする傾向が見られた一方、明暗箱試験や高架式十字迷路試験では、当該マウスが示す不安様行動を改善する効果は見られなかった。
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