2018 Fiscal Year Research-status Report
Actomyosin-based control of tissue morphology
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17K17799
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
進藤 麻子 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (60512118)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アクトミオシン / 創傷修復 / 胚組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
アクチンとⅡ型ミオシンの複合体であるアクトミオシンは、多様な組織形態制御を担う細胞移動の駆動力として広く保存・活用されている。本研究ではアクトミオシンにより駆動される胚表皮の創傷修復過程に着目し、胚組織特有の迅速な細胞動態を可能にするアクトミオシンの制御機序の解明を目指している。アフリカツメガエル胚をモデル動物として使用し、今年度は創傷修復におけるアクトミオシンの役割に加え、微小管及びセプチンの機能を新たに解明し、その成果を論文としてまとめ、受理された (Shindo et al., JCS, 2018)。 上述の論文を含めたこれまでの成果から、アクトミオシンの細胞駆動力は、受傷後約3分後から見られる創傷面積の急速縮小期を正常に開始するために重要であることが見出された。その制御機構を解明するため、今年度より化合物ライブラリーを用いた解析を開始した。アクトミオシンの収縮活性を維持する効果を持つCalyculin Aと類似の効果を持つ化合物(類似群)、拮抗する効果を持つ化合物(拮抗群)のスクリーニングを行なった。効率的にスクリーニングを行うため、アフリカツメガエル胚表皮を用いた新たな解析法を確立した。 また、創傷修復を開始させるダメージシグナルの候補として細胞内カルシウムの動態解析を引き続き行なった。受傷前と後でアフリカツメガエル胚表皮のカルシウム動態の変化を検証するため、今年度は受傷前の細胞内カルシウム動態の詳細な解析を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
迅速な創傷修復を可能にする主たる細胞骨格の動態とそれらの機能を明らかにし、論文として公表することができた。新たに開始した化合物スクリーニングでは、これまでのところ、20種あまりの化合物がアクトミオシンの収縮活性剤の類似群として、2種の化合物が拮抗群として選定されている。現在、検証する化合物を順次増やしている。さらに、アフリカツメガエル胚表皮を用いた解析法をさらに効率化するため、より適した画像解析法を確立中である。並行して受傷前の胚表皮の細胞内カルシウム動態のイメージングを行ったが、画像取得方法、解析方法に改善の余地があることがわかった。このような課題はあるものの、研究成果を発表できたこと、新たな解析を開始して一定の結果が得られ今後の検証事項も得られたことから今年度の進捗状況は順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
化合物スクリーニングの結果得られた化合物の機能解析を中心に行っていく。初年度に確立した創傷修復の経時的変化の解析を応用し、それぞれの化合物の創傷修復における効果を検証していく。また、これまでの研究で明らかにしたアクトミオシンや微小管の細胞内局在、さらに細胞接着分子の細胞内局在が選定した化合物でどう変化するかを検証する。受傷前の胚表皮の細胞内カルシウム動態の解析法については今後の検討課題であり、課題解決には時間がかかる懸念があるが、今後の化合物スクリーニングでカルシウム動態に関連する化合物が選定される場合はそちらと融合させ、受傷後のカルシウム動態解析に注力する予定である。
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Causes of Carryover |
共同研究により化合物ライブラリーの使用が可能となったことから、阻害剤・化合物の購入にかかる費用が当初予定したよりも減った。一方で、画像解析の効率化が現在の課題であり、より質の高い画像の取得およびその解析のための機器の導入を計画している。
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Research Products
(9 results)