2017 Fiscal Year Research-status Report
反強磁性体の電子・スピン状態の実空間・逆格子空間における直接観測とコントロール
Project/Area Number |
17K17801
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
羽尻 哲也 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80727272)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 反強磁性スピントロニクス / 光電子分光 / 光電子顕微鏡 / 磁気抵抗 / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
反強磁性体は強磁性体と比べて非常に優れた特性を持つことが明らかになりつつあり,その制御や電気的検出についての研究が盛んに行われ始めている。本年度は,反強磁性体の電子・スピン状態の実空間・逆格子空間における直接観測を目指して,①磁気抵抗効果・ホール効果による電気的検出に加え,②光電子分光を用いた逆格子空間の電子状態観測,③磁気直線二色性光電子顕微鏡を用いた実空間における磁気構造の直接観測の実験を行った。 ①に関して,これまでは強磁性体Fe2CrSi/反強磁性体Ru2MnGeで行ってきた(Phys. Rev. Bにて論文発表)が,強磁性体の結晶磁気異方性の影響を明らかにするために,面内で磁化容易軸がFe2CrSiと45°異なるCo2Fe(GaGe) の作製を行い, Fe2CrSiとは異なる有益な磁気抵抗を得た。②に関しては,まず初めにRu2MnGe単膜の角度分解光電子分光測定を行ったが,明瞭な分散は観測出来なかった。一方で基板からの歪み量を変えた薄膜の比較を行ったところ,角度積分スペクトルで価電子帯電子構造の変化を見いだした。③に関しては,Ru2MnGeを含む様々な反強磁性体で磁気直線二色性を用いたイメージングを行った。Ru2MnGeでは明瞭な反強磁性ドメインは得られなかったが,強誘電体SmFeO3で明瞭な反強磁性磁気ドメインの観測に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反強磁性体の電子・スピン状態観測については電気的(磁気抵抗およびホール効果)効果測定と磁気直線二色性光電子顕微鏡によるイメージングで成功している。角度分解光電子分光測定に関しては,明瞭にバンド分散が観測出来ない原因と考えられる要因はいくつか考えられるが,角度積分測定でも有益な結果が得られているので,おおむね順調に計画が進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
①に関しては,Fe2CrSiとCo2Mn(GaGe)の比較実験を引き続き行うと共に,他の強磁性体/反強磁性体積層膜に関しても行い,さらには反強磁性体単膜や反強磁性体/重金属積層への展開を目指す。②光電子分光に関しては,今後はバンド計算を行い,歪みと電子構造の対応を明らかにすると共に,成膜装置の真空度を改善して角度分解光電子分光測定の試みと,強磁性体/反強磁性体積層膜における電子構造の変化の測定を行っていく。
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Large-Gap Magnetic Topological Heterostructure Formed by Subsurface Incorporation of a Ferromagnetic Layer2017
Author(s)
T. Hirahara, S. V. Eremeev, T. Shirasawa, Y. Okuyama, T. Kubo, R. Nakanishi, R. Akiyama, A. Takayama, T. Hajiri, S. Ideta, M. Matsunami, K. Sumida, K. Miyamoto, Y. Takagi, K. Tanaka, T. Okuda, T. Yokoyama, S. Kimura, S. Hasegawa, E. V. Chulkov
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Journal Title
NANO Letters
Volume: 17
Pages: 3493~3500
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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