2018 Fiscal Year Research-status Report
非ヒト霊長類うつ病モデルの脳細胞種特異的エピゲノム解析
Project/Area Number |
17K17815
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
林 義剛 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10631567)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大うつ病 / エピゲノム / 非ヒト霊長類 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年に厚生労働省が特に対策を進める5大疾患に精神疾患を加えたように、精神疾患の病態解明が期待されている。これまで、神経細胞を標的とした研究が多く行われてきており、一定の成果を上げているが、未だ病因の解明には至っていない。研究代表者は、大うつ病を含む気分障害患者の死後脳解析で、前頭極灰白質においてオリゴデンドロサイト系譜細胞の減少を認めた。また近年、DNAメチル化などのエピゲノム変化が大うつ病の病態と強く関係すると考えられてきている。一方、C型肝炎などの治療薬として用いられているインターフェロンαは、投与した患者がうつ症状を呈することが報告されている。そこで本研究では、インターフェロンαを慢性投与したカニクイザル死後脳のエピゲノム解析を試みる。 昨年度までにインターフェロンαを慢性投与したカニクイザルの死後脳前頭極灰白質から、神経細胞およびオリゴデンドロサイト系譜細胞の細胞核を分取し、得られたDNAから、オリゴデンドロサイト関連因子であるSox10のプロモーター領域のDNAメチル化の解析を行ったところ、オリゴデンドロサイト系譜細胞では、~50%程がメチル化されていたが、インターフェロンαの投与でメチル化率が~10%程に変化しており、細胞種特異的なエピゲノム変化が生じていることを見いただいた。 しかしながら、多くの遺伝子から特定のメチル化異常を見出すことは困難であることから、今年度はインターフェロンαを慢性投与したカニクイザルの死後脳前頭極灰白質のRNA-seq(網羅的遺伝子発現解析)を行った。インターフェロン投与群とコントロール群3頭ずつの解析で、優位に発現量が変化した因子として2因子が同定された。現在、これらの因子のプロモーター領域のメチル化解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、インターフェロンαを慢性投与したカニクイザル(n=3)、コントロールとして生理食塩水を投与したカニクイザル(n=3)の6頭の前頭極灰白質から神経細胞、オリゴデンドロサイト前駆細胞、成熟オリゴデンドロサイト、アストロサイト/マイクログリアなどの残りの細胞の細胞核をフローサイトメーターで分取し、DNAを抽出した。昨年度までにSox10、Slc6a4のプロモーター領域のメチル化解析を行っているが、より疾患特異的な因子を同定するため、今年度は前頭極灰白質のRNA-seq解析を行った。その結果、2つの因子が同定された。RNA-seq解析は、当初の予定になかったが、エピゲノム異常を捉える上で重要な情報を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、インターフェロンαを慢性投与したカニクイザル(n=3)、コントロールとして生理食塩水を投与したカニクイザル(n=3)の6頭の前頭極灰白質を用いてRNA-seq解析を行い、2つの関連因子を同定した。まずは、これらの因子についてプロモーター領域のメチル化解析を行う。また、カニクイザルを用いた解析は、マウスなどのげっ歯類を用いた解析と異なり、サンプル間のばらつきが大きい。そのため、RNA-seq解析において有意差は見られなかったが、コントロール群と比べ発現量の変化が大きい因子の同定を試みる。同時に、n=3ではサンプル数が少ないため、今後さらに投薬を行い、解析個体数を増やすことを予定している。新しくサンプルを得られれば、Sox10のメチル化解析やRNA-seq解析を同様に行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度は、最終年度ということもあり、国際学会や国内学会への参加、当該研究成果の発表を考えている。また、論文投稿も行う予定であり、英文校正や投稿に係る費用を補填するために、次年度での使用が必要となった。
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Research Products
(6 results)