2019 Fiscal Year Research-status Report
相関の強い非一様絶縁体のトポロジカル分類と端状態:冷却気体系から固体系への展開
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17K17822
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
手塚 真樹 京都大学, 理学研究科, 助教 (40591417)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | トポロジカル量子ポンピング / 多体局在 / ランダムポテンシャル / Sachdev-Ye-Kitaev模型 / 量子カオス / 準位統計 / 密度行列繰り込み群 |
Outline of Annual Research Achievements |
トポロジカル量子ポンピングに関して、2次元系の光格子に、斜めの細いトラップあるいは周期格子を加えて動かした系の研究を進め、論文を投稿した。 冷却原子系でトポロジカルエッジ流が実験的に調べられている、1次元鎖上の原子の内部自由度を追加の空間次元として扱い、さらに磁場に相当する人工ゲージ場を加えた系に関して、基底状態での粒子流に対する粒子間相互作用の効果を密度行列繰り込み群で解析した。粒子流の方向の反転を含む結果を得るとともに、平均場近似等と比較を行った。 トポロジカル絶縁体上に形成された穴あき超伝導体や、グラフェン片等での実現が期待される、系の全てのフェルミオンの間にランダム4点相互作用をもつ模型であるSachdev-Ye-Kitaev(SYK)模型について、前年度、4点相互作用の到達距離を限定して多体局在を実現する可能性を、エネルギー準位統計の解析で示した論文を出版済みである。これに続き、さらに、ホッピングに相当する2点相互作用のみの模型および、両相互作用を併せ持った模型のスペクトル構造因子等を、解析計算と数値計算を併用して調べた。結果の一部は本年度出版された。 SYK模型と、多体局在の典型的模型であるランダム磁場を加えた量子スピン鎖について、量子リアプノフスペクトルの準位統計とカオス性の対応を示した代表者らの論文が2019年4月に出版されたが、これに関連し、より単純な、2点関数の行列の特異値スペクトルに関して前年度末に投稿していた論文について、追加の解析を行い、改訂を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
トポロジカル量子ポンピングに関する成果の一部を投稿した。また、トポロジカルなエッジ流の観測される系に対する粒子間相互作用の効果に関する成果についても、数回の対外発表を行ったものの、まだ論文出版に至っていない。 一方で、当初予想していなかった、SYK模型における多体局在の提案に続いて、本研究の当初の計画と密接に関連する概念である量子カオス、スクランブリングなどに関しても多くの成果が得られつつあり、その一部はすでに出版済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
トポロジカルに非自明な系での輸送について、早期に成果の出版を図る。多体局在を示す系での多体局在相内外での量子スクランブリングを定量的に比較した研究についても、研究をとりまとめ、早期に投稿する。
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Causes of Carryover |
年度の前半から10月までに、複数回、国外を含む研究機関に滞在し、招待講演による研究発表と、情報収集・関連分野の研究者との議論を行う機会を得たが、本科研費からの旅費の支出を要さなかった。その後、研究協力者の所属する外国機関への滞在を予定していたが、日程の再調整が必要となった。研究の進捗状況も考慮し、補助事業期間の延長を申請した。さらに、2020年3月に、日本物理学会参加等の国内出張も予定していたが、日本物理学会の現地開催が中止となり、他研究機関への訪問も困難となった。 次年度使用額については、研究の推進および成果発表のため、主に旅費・論文掲載料として有効に使用する計画である。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Quantum Lyapunov spectrum2019
Author(s)
Hrant Gharibyan, Masanori Hanada, Brian Swingle, Masaki Tezuka
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Journal Title
Journal of High Energy Physics
Volume: 2019
Pages: 082-1~34
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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