2020 Fiscal Year Annual Research Report
A Pratical Study of the Empowerment in Disaster Recovery Process
Project/Area Number |
17K17826
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
LEE FUHSING 京都大学, 防災研究所, 研究員 (10769938)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | クロスロード / 震災復興 / 地域コミュニティ / 住民主体 / インターローカルティ / 地域防疫 / 新型コロナウイルス / 防災教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は住民主体の復興の実現に向けて、防災教育のツールを用いて、当事者である地域住民の対話や行動を引き出し、研究者と地域住民と「ともに」復興や防災の取り組みを行う。2020年度は、新型コロナウイルスの影響で、予定していた現地調査が困難になっており、2019年度以前に本研究において地域で構築したネットワークを生かし、オンライン調査を実施した。具体的には、東日本大震災の被災地である茨城県大洗町と台湾の土石流の被災地において、コロナ禍による影響および主体的な取り組みに関する調査を実施した。 本年度の研究成果として、(1)大洗町を事例に、本研究は地域の取り組みとその発展を3つの時間軸、東日本大震災の震災前、震災後、そしてコロナ禍以降で整理した。震災とコロナ禍は、従来の産業を中断させた。住民が地域社会の受動的存在ではなく、主体的に復興の体験や外部者とのつながり、新たな取り組みを展開した。これらの新しい取り組みは、以前の課題を解決する可能性があるとみられる。 (2)台湾の地域社会は、2003年のSARSの経験を踏まえ、コミュニティ単位で防疫作業を行った。地域全体で防疫作業を支援するネットワークを構築し、感染リスクが高い者に対する支援を可能にすることで、政府や医療機関の負担を減らし、地域全体の衛生観念も向上した。また、地域の特性によって、防疫教育の実施や自主防災組織で消毒作業を行う等、さまざまな取り組みがボトムアップで進められた。 以上、本研究の意義と重要性について、まず、 地域住民が行政、専門家に頼らずに、主体的に地域の問題を考え、解決する対処法は、地域の具体的な災害対策、防災教育の課題解決につながる。次に、従来の少子高齢化、自然災害、環境災害を加えて、新型コロナウイルスのような感染症など複合的な災害が拡大していくなかで、地域社会の対応のあり方を示したことである。
|