2017 Fiscal Year Research-status Report
情報精査への動機づけを行う情報検索インタラクションに関する研究
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17K17832
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山本 祐輔 静岡大学, 情報学部, 講師 (50625431)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 批判的思考 / ウェブ検索 / 情報の信憑性 / 情報リテラシー / 態度変容 / デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
認知心理学分野で研究が行われているプライミング効果に着目し、批判的な情報検索に必要となる態度を促進するクエリ補完機構に関する設計・検証を行った。提案システムでは、証拠の重視、客観的な視点、探究心、論理的思考の自覚といった批判的思考に必要とされる態度を連想させるキーワードをクエリ補完時に提示する。本研究では、提案システムが検索ユーザの情報探索時間やページ閲覧傾向、検索タスクの結果に与える影響を分析するために、提案システムおよび一般的なクエリ補完システムを用いたオンラインユーザ実験を行った。実験結果の分析を通じて、クエリプライミングは、特に大学卒業経験者のウェブ検索行動を変容させるのに一定の効果があることが確認された。
以上の研究成果について、下記国内会議・国際会議で発表を行った。 ・Yusuke Yamamoto and Takehiro Yamamoto: Query Priming for Promoting Critical Thinking in Web Search, Proceedings of the 3rd ACM SIGIR Conference on Human Information Interaction and Retrieval (CHIIR 2018), pp.12-21, New Jersey, USA, March 2018.
・山本祐輔, 山本岳洋: 「批判的情報検索を促進するクエリプライミング」, 第10回Webインテリジェンスとインタラクション研究会(WI2-10), pp.1-6, July 2017 (萌芽研究賞受賞).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
クラウドソーシングを効果的に活用することによって、当初予定していたよりもクエリプライミングデータベースの作成を早く完了させることができた。それによってクエリプライミングの効果を検証するための実験システムの実装および評価実験も想定よりも早く実施することができた。評価実験を通じてクエリプライミングの有効性を確認できたと同時に、ウェブ検索ユーザの批判的検索能力がプライミングの効果に影響を与えている可能性があるという新たな仮説を得ることができた。本年度の後半からは新たな研究課題として「ウェブ検索ユーザの批判的検索能力の評価」および「批判的検索能力とプライミング効果の関係性」について研究に着手し始めており、これらの意味において当初の研究計画以上に進展があったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は心理測定尺度等や検索・閲覧ログを用いたウェブ検索ユーザの批判的検索能力を推定する方法論に関する研究を行う。また、開発した批判的ウェブ検索能力の評価方法を用いて、批判的ウェブ検索能力と批判的思考態度を喚起するクエリプライミングの効果との関係性を詳細に分析するための実験を行う予定である。得られた結果については、ACM CHI、CHIR、SIGIR、WebSciなどの査読あり国際会議や学術雑誌に投稿を行う。同時にウェブサイト等で実験システムや解説文書を公開し、一般国民に対しても広く成果発表を行う予定である。
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Research Products
(4 results)