2021 Fiscal Year Research-status Report
最適線量分布を実現するBNCT用補償フィルター設計手法
Project/Area Number |
17K17838
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 卓志 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (60444478)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | BNCT / 治療計画 / 補償フィルター / ボーラス / 最適化 / 3Dプリンタ |
Outline of Annual Research Achievements |
熱外中性子を用いたホウ素中性子捕捉療法(BNCT)では、中性子の体内での熱化を利用することで、熱中性子を深部まで到達させることが可能である。一方で、熱中性子束の体内でのビルドアップや減衰のため、浅部の病巣に対する線量不足や、深部方向に分布した病変に対する大きな線量勾配が生じる場合があり、補償フィルターを用いた線量分布の改善が図られている。本研究では、患者毎に線量分布を最適化したBNCTを実現することを目指して、個々の患者の病変の位置と形状に合わせて補償フィルターを設計・作製する手法を開発することを目的としている。2021年度は、最適線量分布の実験的検証の一部として、単純形状ファントムを用いた測定により、熱中性子束分布に関する基礎データの収集を実施した。実験的検証に先駆けて2020年度に実施した最適化計算では、皮下まで伸展した耳下腺がん症例を想定して、ファントム表面まで伸展した球形の腫瘍領域と口腔・咽頭粘膜に対応する管状領域を設定した。これに従って実験体系と測定条件を設定した。実験では、円筒状の水ファントムを使用し、腫瘍領域および口腔・咽頭粘膜領域に相当する位置に金線を配置することで、熱中性子束分布を測定した。2021年度は、最適化された補償フィルターの比較対象として、補償フィルターを用いない場合、および一様な厚さの矩形フィルターを用いた場合の測定データを取得し、補償フィルターを用いた場合の分布のシフトを確認した。今後、最適化された補償フィルターを用いて同様の実測を行い、計算結果との比較検討を通して最適線量分布の実験的検証を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年度以降に実施予定であった実験が一部しか実施できておらず、補償フィルターを用いた際の最適線量分布の実験的検証において当初計画よりも遅れが生じている。この影響により、研究期間を2022年度まで延長して実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2022年度は、補償フィルターを使用した際の最適線量分布の実験的な検証を継続して実施し、完了させる。新型コロナウイルス感染拡大の影響が生じた場合は、実験の一部を高精細なシミュレーション計算により代替することを検討する。最終的に結果をまとめて、論文等で公表する。
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Causes of Carryover |
(理由)予定していた国内外の学会等への参加ができなかった、もしくはオンライン開催となったこと、また、実験研究が一部しか実施できていないことから補償フィルター作成のための原材料の購入量が想定していたよりも少なくなったことが主な理由である。 (使用計画)繰り越した研究費は、3Dプリンタを用いたフィルター作成のための原材料の購入、および実験的研究を一部代替することを目的として高精細なシミュレーション計算を行うための計算機環境の追加整備、また、論文投稿における校閲の外注等に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)