2018 Fiscal Year Research-status Report
伸長成長過程における竹の細胞壁構造解析と竹独自の新規セルロースナノ複合材料の創製
Project/Area Number |
17K17840
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡久 陽子 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 助教 (70456804)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 竹 / 伸長成長 / セルロースナノファイバー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の内容は、竹を中心とした未利用の草本バイオマス資源の新規利用システムの構築(セルロースナノファイバー化)を目指して、植物学解析の観点からの細胞壁構造の解析と、それに基づく均一ナノファイバー製造およびナノファイバー複合材料の開発を行うものである。 2年目は当初の計画通り、成長ステージに応じた最適な物理的解繊手法の開発を目指して研究を行った。 具体的には、成長ステージの異なる竹材(未成熟材・全長:0.3 m、2 m、10 mおよび成竹)からセルロースを精製し、軽微な機械解繊処理(超音波ホモジナイザー)により解繊の程度がどのように異なるかについて検討した。製造したナノファイバーを用いて作製したシートの表面のSEM観察からは、成竹から製造したシート表面には太いパルプ繊維が確認されたのに対し、伸長成長初期の材においては未解繊のパルプ繊維は消滅しており、ナノ解繊に成功していることが確認された。また、TGAを用いた熱重量測定においても伸長成長初期のものが最も分解温度が高く、性能が高いことが明らかになった。これまで未利用資源であった未成熟竹材の新たな利活用法としてナノファイバー化が有効である可能性が考えられる。また、竹と同じ単子葉類に属するアブラヤシ・パーム搾油残渣からのセルロースナノファイバー製造を行い、果肉部や種子殻部といった原料の部位による違いが製造後のセルロースナノファイバーの性能にどのような影響を与えるのかについて検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は「成長ステージに応じた最適な物理的解繊手法の開発」を目指して、様々な成熟度の竹材からのセルロースナノファイバー製造を試みた結果、これまで未利用資源であった未成熟竹材の新たな利活用法としてナノファイバー化が有効である可能性が見いだされた。さらに、竹と同じ単子葉類に属するアブラヤシ・パーム搾油残渣からのセルロースナノファイバー製造についても検討を行い、竹材のみならず広く大型草本類由来のセルロースナノファイバーに対する新規の知見を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は竹材および大型草本類特有の性能を活かした独自のセルロースナノファイバーおよび複合材料の開発のため、細胞壁構造および構成成分の違いが与える影響についてのみならず、セルロースナノファイバーと樹脂との相互作用の解明についてなど、基礎的な知見の集約を目指す。高分子材料を専門とする工学分野の研究者からの協力も受けながら研究を推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
残金2円のため、次年度の物品購入に用いる予定である。
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[Presentation] Wood property analysis and evaluation of Japanese cedar as a raw material for cellulose nanofibers2018
Author(s)
Chunhua Zhang, Takeshi Fujiwara, Miho Kojima, Youki Suzuki, Tsutomu Ikeda, Satoshi Kubo, Eiji Togawa, Kyoko Katsumata, Yuji Matsumoto, Kouta Ogura, Yoko Okahisa, Michiko Shimizu, Takashi Endo, Noriko Hayashi
Organizer
Wood Nanotechnology Conference 2018
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