2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K17841
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
蓑輪 陽介 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (50609691)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光浮遊 / 光冷却 / イオントラップ / 光トラップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、光トラップおよびイオントラップの技術を駆使し、ナノ・マイクロ微粒子(以下、微粒子)を真空中に捕捉する技術を確立する。さらに、この技術を基盤とし、微粒子の重心運動エネルギーの低減や・内部エネルギーの低減といった様々な冷却技術の開発・確立を目指す。H29年度の主要な成果は以下の4項目である。 1. 加熱の恐れの低い近赤外光(波長1.5マイクロメートル)を用いた、単一ビーム光トラップ実験系を真空チャンバー中に構築した。この実験系により、テストサンプルであるシリカ微粒子の非共鳴的光トラップを真空中で実現した。 2. 平面電極型イオントラップ装置を設計・構築した。このイオントラップ装置を用いて、実際に大気圧下での微粒子の安定的トラップに成功した。 3. 半導体硫化カドミウムの微粒子作製を行った。レーザーアブレーションによる作製・ビーズミリングによる作製に取り組み、微粒子の特性評価を単一微粒子レベルで実施した。特にビーズミリングで作製した微粒子については、表面状態の改善のために配位子を導入することで、品質向上を狙った。その結果、単一微粒子からの蛍光が十分観測可能であることを確認した。 4. 上記1.で構築した実験系を拡張し、トラップされた微粒子からの蛍光を高効率で観測可能な実験系へと更新した。実際に、自身で作製した硫化カドミウム微粒子を光トラップし、光トラップ下においても蛍光が測定が可能であることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に計画したとおり、真空中の光トラップ実験系および蛍光観測実験系の構築は順調に進展している。また、硫化カドミウムの微粒子作製についても着手し、新しい知見が得られた。しかし、イオントラップに関しては、真空中でのトラップの実現に至らなかった。これは微粒子イオンにおいては重力の影響を精査する必要が有るためであり、補助電極の付加により対処する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した真空中での光トラップ実験系を基盤として、微粒子の重心運動の低減及び内部エネルギーの低減技術開発に取り組む。また、真空中での微粒子のイオントラップ実現も目指す。同時に、適切な微粒子材料の作製にも取り組む。具体的には以下のようにすすめる。 1. 真空中で光トラップされた微粒子の重心座標をホモダイン検出によって測定し、その情報をフィードバックすることで、重心運動の冷却に取り組む。 2. 重力の影響を補償するために付加的な電極を用いたイオントラップ実験系を構築する。この改善されたイオントラップによって、真空中での微粒子の光トラップ実現を目指す。 3. 硫化カドミウム微粒子については蛍光効率をより高めるために、最適な作製のための条件出しを行う。 4. 冷却に適した、その他の材料の微粒子作製にも取り組む。その際は、硫化カドミウム微粒子作製を通じて得た知見を活かし、レーザーアブレーションやビーズミリングといった手法も採用する。 5. 作製した微粒子を用いて、アンチストークス発光を用いた内部エネルギー低減にも取り組む。
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Causes of Carryover |
研究を進めていく上で、必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に大きな変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(10 results)