2020 Fiscal Year Research-status Report
Toward a cognitive pragmatics dealing with various interpretations of NPs
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17K17842
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山泉 実 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 講師 (80592336)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 指示参照ファイル(reference file) / 名詞句 / 潜伏疑問 / 認知形而上学 / 認知的視座 |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続き、「指示参照ファイル理論」という、名詞句に対応する心的表象の理論を作っている。2020年度は、以下の成果を公刊した。 ■論文 1. 山泉実「指示参照ファイル理論序説」『日本語・日本文化研究』30: 1-28. 大阪大学言語文化研究科日本語・日本文化専攻. 2. 山泉実「認知的視座からの意味論と形而上学」『日本語・日本文化研究』30: 29-52. 大阪大学言語文化研究科日本語・日本文化専攻. 3. 山泉実「潜伏疑問名詞句再考」『言語文化研究』47: 101-121 大阪大学大学院言語文化研究科. ●1でRFTの概要を述べ、2でその哲学的基礎とRFTと遂になる形而上学について論じた。3はファイルのデータ構造も含む理論の全体像を示し、それを元に具体的な言語現象を扱った。 ■口頭発表 4. 山泉実「並列名詞(句)の意味論と形態論―選言名詞(句)と連言名詞(句)―」第119回慶應意味論・語用論研究会. 5.山泉実「「並列名詞」とそれが主要部になる名詞句:両者の意味の関係と語彙的特徴」形態論・レキシコンフォーラム2020口頭発表. ●指示参照ファイルの特質-値という概念によって、「合否」「男女」などを分析した。 ■ワークショップ(企画・司会・趣旨説明)6. 山泉実, 成田広樹, 窪田悠介, 田中太一, 太田陽「理論言語学を科学哲学する:生成文法、形式意味論、認知言語学の未来」日本言語学会 第161回大会 2020年11月22日 ●言語学理論を作るという経験を元に、理論言語学の科学哲学的研究のワークショップを行った(書籍化予定)。 ■シンポジウム(企画・趣旨説明・コメンテーター) 7. 基礎言語学研究会設立シンポジウム「言語(研究)の基礎」2021年3月27日 ●言語学において少数派である理論構築研究などの発表の場を確保するため、研究会を設立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論の全体像と適用例を公刊することができた。 他の研究も公刊には至っていないものの、論文が一通りできているものが複数ある。 モノグラフは、出版社が決定し、原稿をほぼ書き終わった。 研究発表の場として、新たな研究会を立ち上げた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.モノグラフを書き上げ、出版する。 2.“名詞句の自由拡充”、“潜伏命題名詞句”、視座俯瞰認知メタ形而上学による構成のアンチノミーの分析、並列名詞(句)、“高階の変項名詞句”などの論文を仕上げ、出版する。 3.指示参照ファイル理論で以下の言語現象を分析し、それを通して理論を精緻化する:コピュラ文、存在文、変化文、名詞修飾など。 4.その差異、上の現象を扱っている他の理論(N-意味理論、メンタル・スペース理論、メンタル・ファイル理論)などの分析を参考にする。理論の細部、たとえば、特質の値が他の指示参照ファイルに対応するものの位置付けなどについても、統語意味論など他の枠組みを参考に考察する。 5.研究会で発表し、有益なコメントを得る。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で出張が大幅に減った。 可能であれば、バイアウトに使用する予定。
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Research Products
(6 results)