2019 Fiscal Year Research-status Report
小児期に臓器移植を施行した成人患者のQOLの定量的評価と長期支援モデルの構築
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17K17845
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊池 良太 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40794037)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 臓器移植 / 患者報告型アウトカム / HRQOL / 看護 / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、小児期に臓器移植を行った成人患者のHealth-Related Quality of Life(HRQOL)の定量的評価と関連要因の同定、及び長期支援モデルの構築について提言を行うことを目的としている。2019年度は、共同研究体制の計画を進めながら、先行研究の知見の要約を行なった。研究の実施状況と実績の概要を2点に分け、以下に示す。 (1)小児腎移植患者のHRQOLに関するsystematic reviewの実施と成果の公表:小児腎移植患者のHRQOLに関する16件の先行研究を要約した結果、HRQOLは、概ね、同年代の健康集団よりは低いものの、透析患者や肝移植患者、心移植患者と同等以上のQOLを有していたことが明らかとなった。しかし、成人期に達した以降の長期的な予後については不明であり、本研究にて取り組む意義が確認された。成果は、日本臨床腎移植学会雑誌に論文として掲載された。(なお、学会発表として第53回日本臨床腎移植学会(2020年2月東京)にて演題が優秀演題賞の候補として採択されていたが、新型コロナウイルス感染症の流行の兆しから、職務への影響を勘案し、参加を辞退しなければならなかった。) (2)HRQOLの予測に向けた systematic reviewの実施と成果の公表:看護領域の研究において、人工知能がどのように用いられているかを検討するため、17件の先行研究を要約した。人工知能は、抑うつ等のアウトカムの予測において有用性を示していたが、HRQOLの予測には用いられておらず、HRQOLの予測にも適応可能であると考えられるとともに、HRQOLの予測に用いる上での新規性が明らかとなった。成果は、Online Journal of Nursing Informatics誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の職務の変更と、研究協力者複数名の他機関への異動が生じたことから、研究遂行のための体制に大幅な変更が生じ、調査は各研究者の診療、教育及び研究の環境の安定を勘案しながら行うこととなった。また、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、研究代表者の主に教育上の職務に充当しなければならない時間を多く要した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者及び研究協力者の研究、教育及び診療の環境の安定と、新型コロナウイルス感染症の収束状況を勘案しながら計画の再調整を行う。また、再調整の間でも可能な成果の公表を進める。
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Causes of Carryover |
研究計画に変更が生じたことから、調査の遂行と成果の公表に必要な助成金を繰り越す必要があった。次年度は、研究協力者の研究環境の安定状況や新型コロナウイルス感染症の流行の動向等を勘案しながら進めることとなるが、可及的速やかに調査を遂行し、学術誌や学会発表にて成果の公表を行う予定である。
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