2018 Fiscal Year Research-status Report
危険の見返りを小さく認知させることは可能か?-ベネフィット認知低減に関する研究-
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17K17864
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森泉 慎吾 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (50735066)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ベネフィット認知 / リスクテイキング / 労働災害 / リスク認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度においては、平成29度取得した研究成果について、国際学会(29th International Congress of Applied Psychology)での報告を行った。具体的には、リスク受容に伴うベネフィットに対する認知を構成する要素について、様々なリスク受容行為に対して複数のベネフィットに対する評価を500名に対して求め(WEB調査)、多変量解析によってその中心要素の抽出を行った。その結果、リスク受容行為に伴うベネフィット認知は、「直感的なベネフィット」と「熟慮的なベネフィット」の2要素によって構成されることを明らかにした。本研究内容は、平成31年度に論文化して公表する予定である。さらに、上記研究発表とともに、ベネフィット認知に影響する要因として利得の感受性に関する実験を若年者を対象に実施した。具体的には、若年者は、同じ若年者から観察される状況にて利得の感受性が高まり、リスク受容が増加することが多くの先行研究で示されているが、本研究では、将来的に自身の様子が観察される(可能性がある)という不確実な状況においてもリスク受容が増加するかどうかを検討した。その結果、観察している若年者がリスク受容的であると認知される場合に、若年者に将来的に観察されるという認知によってリスクの受容傾向が増加した。この研究知見は、昨年度実施したバスドライバーに関する実験と整合した結果を得ることができた。またこの研究知見については、平成31年度に学会発表および論文化して公表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究計画の見直しに伴い、平成30年度に当初実施する予定であった実験にも計画の変更があった。しかしながら、上述の通り大学生を対象にした実験を実施し、昨年度実施した研究成果と整合した一定の成果を得るなど、軌道修正はできたと考えられる。従って、研究成果を総合的に鑑み、「おおおむね順調に進展している」と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度研究の成果を公表する中で、一部再調査の必要性が生じた。そのため、平成31年度においては、まずはその再調査を実施する予定である。その後、その研究成果を鑑みて当初の計画通り研究を進める。再調査はWEB調査で実施するため、研究代表者自体に対する時間的・労力的なコストは小さいと考えられるため、研究計画の実施に大きな支障はないと考えている。また、これまでの一連の研究にて得られた成果を積極的に公表する。
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