2017 Fiscal Year Research-status Report
問題行動に対する能動的アプローチとしての学級経営方略
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17K17870
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
寺坂 明子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10760176)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 小学校 / 学級経営 / 教師 |
Outline of Annual Research Achievements |
小学校の教室における観察データから、教師が授業中に行う働きかけを分類し、文研研究の結果と照らし合わせながら、能動的な学級経営方略の提案を行った。方略は、(1)問題行動を起こりにくくする先行的なアプローチ、(2)適切な行動の強化、(3)問題が起こったときの対応、に大別され、それぞれについて具体的な方略をまとめた。これらは、応用行動分析的な考え方に基づき主にアメリカで提案されているものと概ね同様であるが、それぞれの具体的な方略はいずれも観察から得られたものであり、実際に我が国の教育現場で用いられやすいと考えられるものである。また、一般に行動の逸脱が起こりやすいとされる低学年の教室では(3)の問題が起こったときの対応が他学年に比べて多く観察されたことなどから、教師の学級経営方略のレパートリーを増やす教師教育や研修が必要であると考えられた。これらの結果を論文にまとめ、所属機関の研究紀要に投稿した。 さらに、観察研究の結果と先行研究の知見を元に、教員養成課程の学生を対象とした学級経営法の講座内容を考案し、実際に講座を行ってその効果を検討した。講座は5時数で構成され、問題を予防するための1次的な学級経営方略、さらには問題が生じているときに重点的に行う2次的な方略についても扱った。各種方略についての講義と簡単なデモンストレーションののち、教室内でのやりとりのシナリオを用いて、学生が教師役、児童役を交代しながら、ロールプレイを行った。講座の効果の測定には、学級経営に対する効力感、学級経営法の知識、各方略についての効力感の項目を用いた。講座前後での比較、コントロール群との比較の双方において、講座実施の効果が認められ、概ね大きな効果量が得られた。これらの結果をまとめて大学の研究発表会で報告し、現在は学術誌への投稿論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小学校における観察研究の結果から、学級経営方略の提案を行うことができた。さらに、それに基づく教育実践を行い、効果を実証することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実践研究の結果をまとめ、学術誌に投稿する予定である。また、教室内での観察データを、子どもの反応を含めて再分析を行い、子どもの反応と方略の使用との関連を分析する。
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Causes of Carryover |
海外での研修に参加する予定だったが、妊娠で体調が優れず、参加を見合わせたため。
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