2017 Fiscal Year Research-status Report
有用物質高生産のための酵母バイオセンサの開発とその応用
Project/Area Number |
17K17878
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 泰之 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 学術研究員 (40733184)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酵母 / バイオセンサ / シグナル伝達 / Gタンパク質共役型受容体 / メラトニン / レポーター遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、目的物質の合成代謝経路を導入した酵母での物質生産性の向上を目的として、バイオセンサを利用することにより、様々なライブラリの中から有用物質高生産株をスクリーニングするためのシステムを開発することを研究目的とする。 平成29年度は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を利用して目的物質であるメラトニンのバイオセンサを構築し、メラトニンの濃度に応じて酵母細胞がセンシングを行うシステムの開発を行った。GPCRの一種であるヒト由来メラトニン受容体を酵母の細胞膜表面に発現させることで酵母内在性のシグナル伝達経路と共役してメラトニンの結合を感知できるレポーター発現系を構築することにした。その結果、メラトニン濃度に依存したレポーター発現強度の違いを示すことができた。 さらにメラトニン高生産株をスクリーニングするためには、バイオセンサの測定可能濃度域が調節可能なシステムの構築が必要である。そこで、バイオセンサの感度調節を可能にするために、バイオセンサであるGPCRの種類を変えたり、強度の異なるプロモーターを用いることで発現量をコントロールし、GPCRを高発現にすることで高感度バイオセンサを構築し、低発現にすることで低感度バイオセンサの構築に成功した。また、GPCRのGタンパク質と相互作用する部位に変異を導入することでGPCRの感度調節を行うことにも成功した。このことから、受容体の発現量や親和性を改変することでメラトニン濃度の検出感度を人為的に調節可能であることを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の研究計画通りに、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を利用して目的物質であるメラトニンのバイオセンサを構築し、メラトニンの濃度に応じて酵母細胞がセンシングを行うシステムの開発に成功した。さらに、受容体の発現量や親和性を改変することでメラトニン濃度の検出感度を人為的に調節可能であることが示されたことから、メラトニン高生産株をスクリーニングするために必要であると考えているバイオセンサの測定可能濃度域が調節可能なシステムの構築に成功した。これらのことから、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は変異酵母株ライブラリからの高生産株のスクリーニングを実施していく。UV変異や薬剤変異導入により、ゲノム全体にランダムに変異を導入したライブラリから、開発したスクリーニングシステムによりメラトニン高生産株のスクリーニングを行う。選抜された高生産株の生産能を評価するとともに、取得した変異株を次世代シーケンサーによりシーケンスして変異導入部位を同定することを検討している。
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Causes of Carryover |
(理由)研究補助員の雇用を想定していたが、適任者が見つからず雇用が叶わなかったため。なお当該年度は研究開発が順調に進んだため、研究代表者及び研究協力者で計画を遂行することができた。 (使用計画)次年度の直接経費(物品費)として使用するとともに、研究補助員の雇用における人件費として使用する。今後は作業従事者を増員することで、研究計画の進行を加速することが期待できる。
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