2017 Fiscal Year Research-status Report
太陽ニュートリノの観測時刻情報を用いた太陽g-mode振動の探索
Project/Area Number |
17K17880
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中野 佑樹 東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (70781889)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 太陽ニュートリノ / g-mode振動 / Super-Kamiokande / 星辰学 / 太陽標準模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、Super-Kamiokande検出器に於いて、太陽ニュートリノの観測時刻情報をデータ解析することにより、太陽ニュートリノ強度の周期的な変動を探索するための基本的な研究を推進した。本研究では、周期的な変動を起こす現象として、特に太陽のg-mode振動に着目した。
本年度は、Rayleigh power法を用いて、太陽ニュートリノの観測時刻情報を解析する前に、探索感度を見積もる研究を推進した。まず、Super-Kamiokande検出器が実際に観測を継続していた期間を選び、その観測期間内で「周期的な変動を持たない、時間情報がランダムなイベント」をToy-MCとして生成した。現在、このMCサンプルを用いて、「周期的な変動が無い場合」のRayleigh power spectrumを計算し、その統計的な振る舞いを調べる研究を推進している。
g-mode振動探索で用いられるRayleigh-power法とは別に、Lomb-Scargle法という手法を用いて、長い周期の太陽ニュートリノ強度の変動の探索を行った。これまでに、Super-KamiokandeのPhase-Iでは、太陽ニュートリノ強度のLomb power spectrumの中に9.42 year^-1の周期をもつ変動があることが、他の研究者から指摘されていた。Super-KamiokandeのPhase-IVにおける新しいデータセットを用い、この9.42 year^-1の周期をもつ変動を探索したが、Lomb power spectrumの中に、謙虚なピークは見られなかった。これらの結果は国際会議や日本物理学会にて口頭で発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際の観測データを物理解析する前に、まず物理感度の計算を行っている。本年度は、Super-Kamiokande検出器がキャリブレーションなどを行っている時刻を除き、実際に観測を継続していた期間のみを考え、周期的な変動がないRandomな時刻情報を持つToy-MCを生成した。
観測時刻を決めるGPSが不調であった時期があり、その時期を除外する対応を行った。除外した期間は2%未満であり、観測期間に大きな現象は無かった。
Toy-MCの生成は終了しており、周期的な変動の無い場合のRayleigh-power分布を作成し、統計的な処理を比較検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、進捗情報にも記入した感度計算を夏までには完了させる予定である。その後、実際の観測データを開け、実際の太陽ニュートリノ観測データに周期的な変動が存在するかを明らかにする。
秋頃に結果を公表する予定である。その後、年度末までに物理解析の結果を論文として公表する予定である。また、得られた結果は、国内、海外での会議で発表を行う予定である、
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Causes of Carryover |
物理解析データの保存のために、磁気ディスク装置の購入を行う。また、2018年度は会議への参加費、出張費に使用する。論文投稿にかかる費用に使用する予定である。
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Remarks |
研究代表者が自作したweb pegeで、研究成果の一部を公表している。
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