2017 Fiscal Year Research-status Report
中学校体育における学習意欲を促す動機づけ雰囲気の実証的研究
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17K17881
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
中須賀 巧 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 助教 (10712218)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 体育心理学 / 動機づけ雰囲気 / 学習意欲 |
Outline of Annual Research Achievements |
体育における学習意欲の欠如は,体力低下,社会性や規範意識の鈍麻,運動実施頻度の二極化など重大な教育問題を引き起こす根幹となる.健やかな心身を保ち,豊かなスポーツライフの実現を目指す体育授業では,子どもの学習意欲を促す授業展開が強く求められる.しかし,体育授業には熟達雰囲気(クラス全員の熟達,成長を望む雰囲気),協同雰囲気(仲間と協力し合える雰囲気),成績雰囲気(仲間との競争や勝敗が重視される雰囲気)のように様相の異なる動機づけ雰囲気(授業雰囲気)が存在し,どのような授業雰囲気が生徒の学習意欲向上に有効か厳密な検討が求められる.そこで本研究では,横断的・縦断的な調査による量データと授業介入による実践的な質データを相互補完的アプローチから,生徒の学習意欲を促す体育授業における動機づけ雰囲気について検討することを目的とする. 本研究を推進させることによって,①生徒の学習意欲を促す体育授業における動機づけ雰囲気について解明できる,②学習意欲の低下を回復・向上させる授業設計や指導方法について,成長段階ごとの特徴が明らかにできる,③中学校3年間を通して学習意欲がどのように変動するのかについて解明できる.これらを解明することによって,教育現場に実際的な知見を示すことができ,学習意欲向上を意図する指導への一助になることが期待される. 現在のところ体育授業における熟達雰囲気,協同雰囲気,成績雰囲気が学習意欲と関連していることが横断的データから確認できる.またそれらの関連に媒介する要因(目標志向性や集団凝集性)の存在も確認している. 本年度は体育授業における動機づけ雰囲気と学習意欲の関係について競技種目別に着目した検討を行う.さらに引き続き調査を実施し,確実な縦断データの収集を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は①体育授業における動機づけ雰囲気と学習意欲との関係について横断データを用いて検討し,基礎的データを収集することであった.また②中学校3年間の縦断調査を開始することであった.①に関してはデータの解析までは完了できた.②に関しては予定通り調査を開始することができ,予定数の中学校に全4回の調査を実施することができた.しかし,データの入力作業や整理に予想以上の時間がかかり,4回目の調査データの入力が完了していないため,当初の計画からやや遅れている状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,予定していた調査数は実施でき,2年目の調査に向けて準備を整えることもできた.ただし,データ入力がやや遅れている状況である.平成30年度は,①最終4回目のデータ入力を早急に進める.②新たに予定している4回の調査を進め,2年目の縦断的データの蓄積を目指す.③体育授業における動機づけ雰囲気と学習意欲の関係について競技種目別に着目した検討を行う.
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Causes of Carryover |
(理由) 平成29年度は年4回の調査を予定していた.3回目までは既に完了しているが,4回目の調査データの入力が未完了である.研究計画上,中学生の年度最後の状態を測定するため,調査は2月中旬ごろの実施となり,回収が3月上旬になった.そこからの入力作業が遅れた. (使用計画) 迅速にデータ入力及び整理を行うため,データ入力作業にかかる人件費(謝金)として平成30年度に併せて計上する.平成30年度は既に学会発表が決まっていること,それと研究成果の発表報告を調査協力校で行う予定であるため旅費を予定通り計上する.また論文投稿や英文校正に必要なその他の経費も予定通り計上する.
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