2017 Fiscal Year Research-status Report
冷受容分子とエストロゲンに着目した若年女性の冷えのメカニズムの解明
Project/Area Number |
17K17882
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
内田 有希 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (50634002)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エストロゲン / TRPA1 / TRPM8 / 月経周期 / 冷え症 / 尾隠し行動 / メントール / シナモン |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】ラットの自然な寒冷時体温調節行動と考えられる尾隠し行動を修飾するエストロゲン(E2)のTRPA1への影響(実験1)、また、女性の足の冷えについて、月経周期が局所冷却時の足背の皮膚温調節に与える影響(実験2)についても明らかする。【実験1】TRPA1とは感覚神経終末に発現する冷受容分子である。E2投与、非投与の卵巣摘出ラットにvehicleまたは30%シナモアルデヒド(C, TRPA1作動薬)を塗布し、寒冷(16℃, 2h)または室温(27℃, 2h)暴露し、腹腔温、尾部皮膚温、尾隠し行動を計測した。脳を採取した。【結果(各群n=6)】腹腔温変化量は、環境温16℃でC塗布時のE2(-)群がE2(+)群より有意に低く、またE2(-)群ではC塗布がvehicle塗布より有意に低くなった。尾部皮膚温変化量は、環境温16℃で E2(+)群においてC塗布がvehicle塗布より有意に高くなった。尾隠し行動時間は、環境温16℃でvehicle塗布時のE2(-)群が E2(+)群より有意に長く、E2(-)群、E2(+)両群においてC塗布がvehicle塗布より有意に短くなった。【結論】E2は末梢冷受容分子TRPA1を介した体温調節反応に影響することが示唆された。【実験2】排卵チェッカーで、健康な若年女性の卵胞期、黄体期を同定した。各期において、被験者は環境温28.0℃下で右足背及び足底に24.7℃の軽微な局所冷却を30分行い、左足背及び足趾の皮膚温を赤外線サーモグラフィで、母趾の皮膚血流量をレーザー組織血流計で計測した。【結果(各群n=6)】皮膚温はすべての足趾、足背で卵胞期と黄体期間で有意な差は認められなかった。皮膚血流量は、母趾では黄体期より卵胞期で有意に上昇した。【結論】局所冷却時に母趾の皮膚血流量に月経周期が影響することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験が滞りなく進んでおり、実験2について論文投稿中である為。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は実験1の個体数追加実験を行う。また、生理データの結果を検討し、E2(-),E2(+)間の有意差が明確となった場合は、脳の活性部位について神経マーカーのcFosを用いた免疫組織化学実験を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
他研究費で支払い可能な実験消耗品等があり、残額が生じた。 来年度の実験消耗品の支払いに充てる予定である。
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Research Products
(17 results)