2017 Fiscal Year Research-status Report
嗅神経細胞におけるmRNA局在制御機構とその生理的役割の解明
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17K17884
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
福田 七穂 新潟大学, 脳研究所, 助教 (00415283)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | RNA結合タンパク質 / 嗅神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞では、樹状突起や軸索末端に特定のmRNAが局在化し、局所的にタンパク質合成が行われる。このようなmRNAの局在化を介した発現制御は、外部からの刺激に応じた迅速かつ局所的なタンパク質合成を可能にし、シナプス可塑性や軸索伸長に寄与している。研究代表者はこれまでに、マウス嗅神経細胞に高発現するmRNA局在化因子を同定した。本研究では、mRNA局在化因子が嗅神経細胞内で結合するターゲットmRNAを同定し、それらの発現様式を解析することで、嗅神経細胞におけるmRNA局在化様式を明らかにする。また、mRNA局在化因子やそのターゲット遺伝子を欠損させたマウスの嗅覚組織を解析し、mRNA局在化が嗅神経細胞において担う生理的役割を明らかにする。 当該年度は、RNA免疫沈降によりターゲットmRNAの探索を行うことを目的として、mRNA局在化因子の抗体作製を行い、特異的抗体を得た。この抗体を用いたRNA免疫沈降により、mRNA局在化因子は嗅神経細胞の軸索に発現する複数種のmRNAと結合していることが明らかとなった。また、mRNA局在化因子の欠損マウスを所属研究機関に導入し、系統を樹立した。嗅覚組織の形態学的な解析を開始し、mRNA局在化因子欠損マウスでは、嗅神経細胞のアポトーシスの増加や糸球体(嗅神経軸索が集合し、2次神経細胞とシナプスを形成する部位)の構造異常を示すことが明らかとなった。現在、表現系の定量的な評価と異常が現れる時期の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度に所属研究機関を変更したため、研究の進捗がやや遅れたが、これまでにRNA免疫沈降やmRNA発現解析などの実験系の構築が完了した。また、mRNA局在化因子の欠損マウスを所属機関に導入し、解析を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA免疫沈降で複数種のターゲットmRNAが得られたため、これら候補mRNAと、mRNA局在化因子との結合を定量的に評価し、主要なターゲットの絞り込みを行う。その後、ターゲットmRNAの発現様式をmRNA局在化因子の欠損マウス と野生型マウスとで比較し、mRNA局在化因子による発現制御を明らかにする。また、欠損マウスの嗅覚組織に見られた表現系の定量的な評価と、異常が現れる時期の解析を進める。
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Causes of Carryover |
所属研究機関を変更したことにより、研究の進捗がやや遅れたため。次年度は計画書に従い、RNA免疫沈降の定量的な解析、マウス組織の形態学的な解析、高感度 in situ hybridizationシステムの導入、動物細胞培養系を利用したRNA局在化因子の機能解析実験に関わる消耗品を購入する。また、学会参加と研究打ち合わせを行う。
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