2022 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical re-construction of metabolic pathways by comprehensive genetic interaction analysis
Project/Area Number |
17K17885
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
武藤 愛 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 訪問研究員 (80730506)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 遺伝的相互作用 / 合成致死 / 代謝パスウェイ / 新規代謝経路 / 接合伝達 / 大腸菌遺伝子欠失株ライブラリ |
Outline of Annual Research Achievements |
単独での遺伝子欠失では致死とならないが、他の遺伝子の欠失が共存すると致死性を示す現象を合成致死と呼ぶ。本研究では、大腸菌の未知代謝経路のゲノムワイド探索を目的とし、遺伝子欠失株ライブラリを用いた合成致死遺伝子の網羅的検出を行なった。 大腸菌の接合伝達機構を利用して二重欠失株のハイスループット構築を行い、最小培地における二重欠失株コロニーの生育度を測定することで、合成致死遺伝子の網羅的スクリーニング実験を行なった。得られた合成致死遺伝子には、パラログ遺伝子や代替パスウェイ上の遺伝子のような相補関係が予測される遺伝子だけでなく、現在の代謝ネットワークモデルによる予測とは一致しない遺伝子の組み合わせが含まれていた。代謝ネットワークモデルに基づく合成致死関係の予測結果と、本研究で得られた二重遺伝子欠失株生育データに基づく合成致死関係との比較を行い、未知代謝経路上の候補遺伝子を得た。 また、接合伝達を利用した二重欠失株構築実験の網羅的実施により、同手法の特性について新たな知見が得られた。一例を挙げると、欠失遺伝子のゲノム上の位置に依存した二重遺伝子欠失株作製効率の低下が起きていることが観測された。二重遺伝子欠失株作製効率の低下は常にゲノム中に導入した接合伝達起点から200kb以内にある遺伝子の欠失株において起こっていたため、伝達されたDNAの相同組み替えの頻度が影響しているものと考えたが、興味深いことにこの低下は最小培地でのみ観測され、栄養培地においては観測されなかった。本研究ではこの原因について検討するとともに、合成致死遺伝子のスクリーニングに適用するため、ゲノム上の位置情報に沿って生育度データをノーマライズする手法を開発した。
|