2017 Fiscal Year Research-status Report
IgG4関連疾患の原因究明:特定抗原による発病メカニズム
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17K17894
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹内 真衣 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10759666)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | IgG4関連疾患 / 樹状細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は主に病理組織学的解析を行い、IgG4関連疾患の唾液腺において上皮内にCD1a陽性、langerin陽性、FCeRI陽性のいわゆるランゲルハンス細胞型の樹状細胞(LC-type DC)が特異的に増加していることを確認した。これらのLC-type DCは上皮内に複雑な樹状突起を伸ばし、上皮内腔にも直接突起を伸ばす像が観察されたことから導管上皮内の抗原を補足・提示している可能性が示唆される。LC-type DCの詳細な機能は報告が少なくまだよく知られていないが、IgEと結合するFceRIも発現していることからIgG4関連疾患でよくみられるアレルギーの背景との関連も推測される。IgG4関連疾患では何らかの抗原に対する異常な免疫反応が起こっているのではないかと以前より推測されているが、抗原へ曝露の場や経路については詳細な報告がなく、導管上皮における抗原曝露とIgG4関連疾患の発症との関連が証明されれば病態の解明や治療・予防に貢献できる可能性がある。 また、IgG4関連疾患の唾液腺のT細胞領域において指状陥入細胞に類似した成熟樹状細胞の特異的な増加も病理組織学的に確認し、これらの樹状細胞がCD4陽性のヘルパーT細胞やTreg細胞と密接に接触していることを示した。指状陥入細胞はリンパ節においてヘルパーT細胞に抗原提示を行う重要な樹状細胞として知られている。非特異的な唾液腺の炎症では通常これらの成熟樹状細胞は出現せず、以上の結果は唾液腺領域のIgG4関連疾患において何らかの抗原に対するリンパ組織の構築が行われている可能性を示す結果と考えている。 現在、これらの結果を論文化しており近日中に投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度途中に研究代表者の所属施設変更が決定したため、当初予定していた患者血清の収集・解析は延期となった。
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Strategy for Future Research Activity |
所属施設が中途変更となったため、研究のアプローチや使用するサンプルをやや変更する可能性が考えられるが、研究課題の内容については特に大きな変更はなく平成29年度に同定した樹状細胞の更なる検討を平成30年度に行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の施設の変更があったため、平成29年度に実施するはずであった研究が延期になったため。新規施設で引き続き平成29年度と平成30年度を合わせて研究を行う予定である。
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