2018 Fiscal Year Research-status Report
「忘れられる」権利概念の意義と体系的整合性に関する研究
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17K17899
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
村田 健介 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (00551459)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 個人情報 / 忘れられる権利 / プライヴァシー / 差止請求権 / 無体所有権 / RPGD / GDPR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,「忘れられる」権利概念の日本法における意義と射程を,フランス法・EU法を比較対象としつつ明らかにすることを目的とするものである。 平成30年度は,まず,平成29年度中に行った,最決平成29年1月31日民集71巻1号63頁に関する判例評釈を公表した。 そのうえで,フランス法・EU法の検討を行った。もっとも,EUにおいて一般データ保護規則が実施に移されて間もないため,現在の議論の中心は,一般データ保護規則の解釈や実務上の解決のあり方にあるように見受けられた。従来のフランス法との関係,フランス法内部における位置付けについても議論はみられないわけではないが,博士論文等における,一般データ保護規則の規定を踏まえたうえでの本格的な検討は(調査したかぎり)まだ存在していない。本研究課題の中心である,民法法理(所有権や私生活)との接続に関する議論も,未だ十分とはいいがたい。 このように,本研究課題に関連するフランス法の議論は,一般データ保護規則の実施を受けて,やや停滞気味であるといわざるを得ない。そうはいっても,一般データ保護規則そのものについての学説の理解が共有されてくれば,フランス法内部における一般データ保護規則上の「忘れられる」権利の位置付けは問題になるものと考えられる。その際には,フランス人研究者における一般データ保護規則の解釈が当然の前提となる。そこで,平成30年度は,同年度中に発行された,一般データ保護規則の解釈に関するフランス語文献・情報の収集・検討を中心に行い,フランス法の議論を紹介するのは平成31/令和元年度の課題とすることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の通り,本研究課題に関連するフランス法自体の議論がやや停滞気味であることから,上記の通りとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31/令和元年度は,本研究の最終年度にあたるため,ここまでの研究成果を論文等において公表することを考えている。そのために,日本法の動向を踏まえつつ,必要に応じてフランス・EU法の文献収集,欧州出張による情報収集・実務動向の調査を行うこととする。
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Causes of Carryover |
フランス出張を平成30年度末から平成31年度当初にかけて行ったことにより,帰国費用を平成31(令和元)年度分にて支出することとなったため。
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Research Products
(4 results)