2020 Fiscal Year Research-status Report
「忘れられる」権利概念の意義と体系的整合性に関する研究
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17K17899
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村田 健介 名古屋大学, 法学研究科, 准教授 (00551459)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 個人情報 / 忘れられる権利 / プライヴァシー / 差止請求権 / 人格権 / 無体所有権 / RPGD / GDPR |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,「忘れられる」権利概念の日本法における意義と射程を,フランス法・EU法を比較対象としつつ明らかにすることを目的とするものである。 令和2年度においては,遅れていた外国法検討を行い,既に検討の目処が立っている日本法と比較し,日本法への示唆を得て本研究課題を完了させる予定であった。しかし,令和2年度は,年度を通して新型コロナウイルス感染症の影響が続き,渡欧が叶わなかったうえ,大学における活動自体に多少なりとも制約がかかり,計画通りの研究遂行を果たすことができなかった。 もっとも,文献検討において,フランス法において,民法上の「私生活の尊重を求める権利」と,GDPR上の「忘れられる権利」とを接合させて具体的に論じようとする動きが若干みられつつあること,「忘れられる権利」の位置付けに絞った具体的検討が少しずつみられるようになりつつあることが分かった。 併せて,現在,(フランスでもまだ詳しい議論はあまりみられないようであるが)データ主体が未成年の間に収集された情報についての「忘れられる権利」,データ主体の死後の「忘れられる権利」については,GDPRは特別の明文規定を置いていないのに対し,フランス法はこれらについて規定を置いている。これらの規定が置かれるに至った理由を探究することは,フランス法における「忘れられる権利」の意義・位置付けに関する示唆をももたらすのではないかと考え,検討を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
年度を通して新型コロナウイルス感染症の影響が続き,渡欧が叶わなかったうえ,大学における活動自体に多少なりとも制約がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗の遅れに伴い,研究期間の再延長申請を行ったため,今年度も本研究課題に取り組むこととする。オンラインでの文献収集・取寄せは,以前から既に進めているところである。ただし,「忘れられる権利」が(特にインターネットにおけるそれについては)新しい制度であるだけに,文献にまだ現れていない議論や実務動向も多くありそうであるところ,それらは未だなかなか掴めていない。いつ頃新型コロナウイルス感染症が収束するか否かにもよるが,渡欧は(叶えばもちろんベストであるが)当面叶わないということを前提として,オンラインインタビューの強化等,次善の策を講じる方向で検討している。
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Causes of Carryover |
平成31/令和元年度に計画していた欧州出張が,令和2年度においても新型コロナウイルス感染症の影響で叶わなかったため,次年度使用額が発生した。これについては,新型コロナウイルス感染症の終息状況次第ということにはなるが,可能であれば,改めて欧州出張を行う予定である。それが叶わない場合には,令和2年度同様,文献の購入費用等に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)