2017 Fiscal Year Research-status Report
アロマテラピーの作用経路の違いからみる、抗炎症効果をもつ精油探索と作用機序解明
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17K17900
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
飯尾 友愛 (上野友愛) 岡山大学, 保健学研究科, 助教 (80613158)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 精油 / TARC |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に正常ヒト皮膚繊維芽細胞(NB1RGB)を用いて、炎症に対する精油効果の評価スクリーニング方法の構築と精油の作用が細胞に与える影響について細胞毒性により検討を行い、以下の成果を得た。 1. MTTアッセイを用いて、精油が細胞に与える影響について検討を行った。市販されており入手可能であった47種類の精油について精油濃度を変化させて48時間培養した。細胞毒性は、細胞生存率(%)と細胞生存率を50%まで減少させる50%細胞死滅濃度(CC50)で算出した。ミルラ、レモングラス、シナモン・カッシア精油は細胞毒性が強く、ローズウッド、ユーカリ・ラディアタ、ラベンダー・アングスティフォリア等の精油は0.1%の精油濃度においても生存率50%以上と細胞毒性が弱かった。精油に含まれる成分の類似した精油ほど近い細胞毒性を示したことから、主成分が主に影響を及ぼすことが考えられる。この結果から確認した、細胞増殖に影響のない精油濃度を続くスクリーニング法において用いた。 2.NB1RGBに精油を培地に添加し、2時間後にTNF-α+IL-4でサイトカイン刺激を行った。その後、細胞から炎症マーカーTARCのmRNA発現を評価した。精油は1.で上記した毒性の強かった3種類の精油を除く44種類を用いて行った。もう一つのマーカーとして予定していたペリオスチンはNB1RGBではコントロールとサイトカイン処置群で差がみられなかったためTARCのみを評価した。抗アレルギー炎症作用が報告されている真性ラベンダー、ユーカリ、ペパーミントには差は見られなかった。一方で、3種類の精油においてサイトカイン処置群に対してサイトカイン+精油群で有意にTARCの発現が減少していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NB1RGB細胞においてペリオスチンがサイトカイン刺激で有意に上昇せず炎症マーカーがTARCのみとなったことは予定外であった。また、予定していたもう1種類のヒト正常気管支上皮細胞(NHBE)の培養に時間がかかっており、スクリーニングが遅れている。しかし、精油により細胞毒性が異なる点からスクリーニングに用いる精油濃度を決定するために次年度予定していた細胞毒性を先に実施したためやや遅れているとの判断をした。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続いて細胞培養を行い、NHBE細胞についてのスクリーニングによる炎症に効果のある精油を同定していく。続いて、効果のみられた精油を用いて、スクリーニングで用いたTARCも関与するNF-κB活性経路を中心に、また他の炎症系マーカーについて網羅的に解析することで抗炎症の作用経路を調べていく。さらに精油の作用が細胞に与える影響についてアポトーシスをssDNA、caspase-3などから2種類の細胞間に違いがみられるか検討していく。
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Causes of Carryover |
(理由)次年度使用額506円であり、研究に必要な試薬・器具が購入できなかったため次年度使用とすることとした。 (使用計画)次年度使用額は少額であるため使用計画に変更はなく、平成30年度の助成金とあわせて細胞培養実験に関連する試薬の購入にあてる。
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Research Products
(2 results)