2018 Fiscal Year Research-status Report
卵母細胞の減数分裂過程におけるオルガネラの動態解析
Project/Area Number |
17K17905
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
若井 拓哉 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (60557768)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 卵成熟 / ミトコンドリア / 小胞体 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで我々は、マウス卵細細胞におけるミトコンドリアや小胞体の動態を解析してきた。本研究では、卵母細胞オルガネラの動態制御機構と局在が持つ生理機能の解明を目指す。オルガネラ機能の低下は卵子の老化と関連するため、本研究で得られた知見から不妊治療への糸口が見出される可能性もある。オルガネラの時空間的変化の解析に、ライブセルイメージングは極めて有効な手法である。平成29年度は、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、ミトコンドリアと小胞体の三次元タイムラプス画像を取得し、動態解析のための観察条件の確立を行った。平成30年度はオルガネラ局在化が果たす生理機能の解明を目指し以下の実験に取り組んだ。 (1)ミトコンドリアの動態とATP 濃度の関係を明らかにするために、ATP プローブであるATeam を用いて減数分裂過程のATP蛍光イメージングを行った。減数分裂時の卵母細胞と第一極体への分裂において、ミトコンドリアの凝集とほぼ同じタイミングでATP濃度の上昇が観察された。 (2)卵表層に局在する小胞体の役割を明らかにするために、小胞体特異的Ca2+プローブを使用して、受精後のCa2+オシレーションの測定を行った。阻害剤を用いてアクチン重合を阻害すると卵表層の小胞体クラスターの形成が妨げるが、Ca2+オシレーションのパターンも異常を示すことが明らかとなった。 (3)高齢マウスから採取した卵母細胞のF-アクチン分布を調べた。通常の卵母細胞と比較して、卵表層のF-アクチン分布が不連続なものが多く観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、ミトコンドリアと小胞体の局在の生理機能として、それぞれ減数分裂過程でのATP濃度と受精時のCa2+オシレーションへの関与を明らかにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
F-アクチン制御経路の役割を解明するために、アクチン重合を制御するFormin2やArp2/3の阻害実験を行ったが、阻害剤による効果は認められたが、siRNA によるノックダウン法では有効な阻害効果が現れなかったため、近年開発されたタンパク質阻害法であるTrim-away法による阻害実験を試みる。また、高齢マウス由来の卵母細胞におけるオルガネラの動態評価に引き続き取り組む。
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Research Products
(5 results)