2022 Fiscal Year Annual Research Report
Psychological interaction between an object and its related space via self
Project/Area Number |
17K17909
|
Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
有賀 敦紀 中央大学, 文学部, 教授 (20609565)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 心理空間 / 自己の拡張 |
Outline of Annual Research Achievements |
混雑したカフェで,私たちは注文前に座席にバッグを置いて,その場所を確保することがある。これは身体から離れた所持品を自分に見立てて,自分のテリトリーを他者にアピールする,という生物的・社会的行動である。このように,所持品は拡張された自己として機能するが,その周囲に形成される心理空間の特性を調べた研究はこれまでにない。そこで本研究は「モノに宿った自己が形成する心理空間」の解明を目指している。 最終年度は,モノが心理空間に与える影響だけでなく,心理空間がモノの認知に与える影響についても検討した。具体的には,モノとして顔を刺激とし,顔の表情処理は心理空間に依存せず,顔のアイデンティティの処理が心理空間に依存することを明らかにした。また,コロナ禍における自己の拡張を調べ,モノ同士(拡張された自己と拡張された他者)においても対人距離がコロナ前よりも広くなることを突き止めた。この成果をまとめた論文は,現在国際誌に投稿し,審査中である。 研究期間全体を通して,(1)実験参加者が心理空間を予測するとき,周辺的な外的要因(他者の匂いや性別など)の影響を大きく見積もる傾向があること,(2)モノのアフォーダンス知覚が心理空間に影響を与えること,(3)他者のモノであってもスマートフォンは空間処理(視覚探索)に影響を与えること,(4)顕著な視覚イベントによってモノやその周辺空間の再処理が行われること,(5)モノが心理空間の形成に影響を与えるだけでなく,心理空間がモノの処理に影響を与えること,(6)モノへの自己の拡張においてもコロナ禍の影響が見られること,を明らかにし「モノに宿った自己が形成する心理空間」の解明を達成することができた。
|
Research Products
(5 results)