2017 Fiscal Year Research-status Report
バイオエンジニアリングによる2層構造を持つ軟骨組織の構築と顎関節修復治療への応用
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17K17910
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉野 浩孝 広島大学, 医歯薬保健学研究科(歯), 専門研究員 (70784255)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 軟骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、採取方法の確立されている hMSC から、効率良く硝子軟骨と線 維軟骨を分化させるとともに、これらの条件のもとで分化させた硝子軟骨と線 維軟骨を用いて、硝子軟骨及び線維軟骨からなる複合軟骨組織体を形成させる 方法の確立を目的とした。実験1では、まず、IhMSC を用いて、軟骨分化における初期細胞播種密度と分化度の 関係について検証した。 軟骨関連遺伝子の発現を調べた結果、播種密度 20,000 cells/cm2 でコンフルエ ントに達した細胞では、他の条件と比較してII型コラーゲン及びアグリカンの 遺伝子発現量が多く、軟骨分化が促進されていた。これらの結果から、細胞同 士をより高密度に凝集させることによって、軟骨分化が効率よく進行すること がわかった。 結論1 MSC の軟骨分化培養において、細胞密度が高いほど効率よく軟骨に分化する。
実験2、顎関節軟骨 2 層構造の構築のため、第 2 章の結果をもとに、hMSC から線維軟骨及び硝子軟骨への分化に適した培養条件の探索を行った。成長因子添加の各条件について、分化培養開始前の未分化状態の細胞 を control 群とし、成長因子を添加せず軟骨分化培地のみで培養した細胞を non-growth factor 群(nonGF 群)、それぞれの成長因子を単独で用いた群を TGF 群、IGF 群、BMP 群、これらを組み合わせた群を TGF + IGF 群(TI 群)、TGF + BMP 群(TB 群)と定義した。 結論2 軟骨の分化度が高いと判断されるのは TGF 群、TI 群、TB 群であった。ただし、軟骨分化は細胞ペレットの周辺部で進行しやすいことが わかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた実験1および2は、予想していた結果が得られているため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞から線維軟骨及び硝子軟骨への 分化誘導におけるコラーゲンの効果について検討する。 また、線維軟骨及び硝子軟骨 2 層構造をもつ 複合組織の構築について探索する予定である。そして、得られた結果を速やかに誌上発表を目指す。
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