2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of novel aging-related regulators of ovarian follicular reserve
Project/Area Number |
17K17918
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
諌山 慧士朗 山口大学, 大学研究推進機構, 助教 (30780887)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 卵巣老化 / GONAD法 / ゲノム編集 / 次世代シーケンス / アルドケト還元酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
平均寿命が延びる一方で、卵巣寿命(閉経年齢)は延びていない。卵巣の老化進行を緩和することができれば、健康寿命の増進、晩婚化に伴う高齢出産などの少子高齢化対策に貢献すると考えられる。卵巣においては、老化に伴う卵胞の貯蔵数減少、発育不全、また排卵刺激応答の低下が認められるが、これら卵巣機能低下の要因は多様であり、分子メカニズムについて不明な点が多い。本研究では、次世代シーケンス(Super SAGE法)を用いてマウス卵巣の遺伝子発現を網羅的に調べ、加齢により顕著に発現変化する遺伝子群を抽出し、その卵巣機能低下への関与を明らかにすることを目的とした。本研究により、主に排卵刺激ホルモンであるLH/hCGに応答する遺伝子群が加齢卵巣で応答低下していることを認めた。特にアルドケト還元酵素をコードする遺伝子の発現低下は顕著であり、mRNA発現および莢膜細胞におけるタンパク発現、さらにイソカプロアルデヒド代謝またはプロスタグランジン合成における酵素活性の低下を認めた。アルドケト還元酵素の生殖機能を調べるために、卵管内の受精卵に対してダイレクトにゲノム編集を行うGONAD法を用い、そのノックアウトマウスを作出した。その表現型は、妊孕性に影響は認められなかったものの、性周期が野生型と比べて明らかに延長していた。これは性周期を制御する生殖ホルモン分泌の異常を示唆するものであった。以上、本研究では加齢卵巣で顕著に低下するアルドケト還元酵素を見出し、特に性周期の制御に関与することを明らかにした。今後、生殖ホルモン合成・代謝における卵巣アルドケト還元酵素の機能をより明らかにするとともに、発現操作による卵巣老化の進行緩和の可能性を探る。
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