2017 Fiscal Year Research-status Report
ポリフェノールの抗動脈硬化作用に関わる転写因子の網羅的同定とその作用機構の解明
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17K17923
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
叶 奈緒美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学系), 助教 (30780267)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 転写因子 / ポリフェノール / 2D-DIGE |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ポリフェノールの抗動脈硬化作用に関連する転写因子ネットワークの解明を目的として、シグナリングに関与する転写因子を網羅的に同定するシステムの確立を試みた。ほとんどの転写因子は活性化により核内移行することから、核内タンパク質の変動量を指標にした解析法を検討した。本年度得られた成果は以下の通りである。 1) ヒト単球性白血病細胞THP-1由来のマクロファージにおいて、LPS刺激後に転写因子NF-kappaBの核内移行が最大になる至適条件をウェスタンブロット解析により決定し、蛍光標識ディファレンスゲル二次元電気泳動システム(2D-DIGE)の解析により、LPS刺激の有無で発現量が変動する核タンパク質のスポットをいくつか確認できた。 2) ほとんどの転写因子は活性化によりリン酸化されることから、市販のカラムを用いて核タンパク質画分からリン酸化タンパク質画分を調製し、2D-DIGEに供したところ、LPS刺激により発現量の増加するスポットをいくつか確認できた。 3) 2D-DIGEにより確認されたLPS刺激で発現変動のあった核タンパク質のスポットはNF-kappaBであることがウェスタンブロット解析により確認できた。 4) THP-1マクロファージにおいて、酸化LDLがCD36とSR-AのmRNA量を増加させ、数種のポリフェノールがそれらのmRNA量を減少させることをRT-qPCRにより明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度得られた成果により、刺激誘導性シグナルに関与する転写因子の網羅的同定システムについて概ね実験条件の設定が完了したことに加え、本システムで得られる結果の妥当性も確認されつつあることから、次年度より本格的に本システムを活用して網羅的同定を実施する準備は概ね整ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、THP-1マクロファージや血管内皮細胞HUVECに対して、動脈硬化促進因子である酸化LDLを単独処理、もしくは酸化LDLとポリフェノールを共処理したサンプルを調製し、本研究により確立した転写因子の網羅的同定解析システムに供することで、ポリフェノールの抗動脈硬化作用に関わる転写因子の網羅的同定とその作用機構の解明を試みる。
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Causes of Carryover |
今年度中にMALDI-TOF/MS解析を頻繁に行う可能性があったため解析費用を今年度分に計上していたが、本格的にMALDI-TOF/MS解析を行うのは次年度となったため、その費用を次年度に繰り越して使用する。
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Research Products
(5 results)