2018 Fiscal Year Research-status Report
ポリフェノールの抗動脈硬化作用に関わる転写因子の網羅的同定とその作用機構の解明
Project/Area Number |
17K17923
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
叶 奈緒美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (30780267)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 動脈硬化 / 転写因子 / スクリーニング / TMT解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も前年度に引き続き、ポリフェノールの抗動脈硬化作用に関連する転写因子ネットワークの解明を目的として、シグナリングに関与する転写因子を網羅的に同定するシステムの確立を試みた。ほとんどの転写因子は活性化により核内移行することから、核内タンパク質の変動量を指標にした解析法を検討した。前年度は、蛍光標識ディファレンスゲル二次元電気泳動法(2D-DIGE)を用いた転写因子の網羅的同定システムの確立に向けて、LPS刺激後の転写因子NF-kappaBの核内レベルの増加が検出できることを確認した。しかし、転写因子は基本的に発現量が少なく、その他の転写因子の増減を2D-DIGEで検出することは非常に困難であるという結論に至り、本システムによるスクリーニングを断念した。そこで、新たにTandem Mass Tag (TMT) 解析を用いることにより、刺激により量的変動のみられる転写因子の網羅的同定を試みた。ヒト単球性白血病細胞THP-1由来のマクロファージに酸化LDLと各種ポリフェノールを単独で処理、もしくは組み合わせて処理し、その核画分をTMT解析に供した結果、これらの処理により有意かつ顕著な発現変動を示す転写因子を多数同定することに成功した。現在は、本解析結果の妥当性を確認するために、これらの同定された転写因子の一部について、実際に転写活性や下流の遺伝子発現の変動が見られるか検証を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
核画分をTMT解析に供することで、刺激により量的変動のみられる転写因子の網羅的同定システムを確立できた。 一方で、長期の病気休暇取得と配置換えによる研究実施場所の変更により十分な研究時間を確保できなかったことに加え、2D-DIGEを用いた解析手法が転写因子の同定に不適合であると判断し、TMT解析へと切り替えたことにより、ポリフェノールの抗動脈硬化作用に関わる転写因子の網羅的同定の進行に大幅な遅れが生じたため、網羅的同定結果の妥当性確認および転写因子制御を介した各種ポリフェノールの抗動脈硬化メカニズムの解明までには至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、刺激により変動する転写因子の網羅的同定の結果の妥当性確認を目的として、同定された転写因子について、転写活性や下流の遺伝子発現の変動が見られるか検証を進める。そして、同定された転写因子の欠損により各種ポリフェノールの抗動脈硬化作用が失われるか検討することで、その作用機構の解明を試みる。
|
Causes of Carryover |
長期の病気休暇取得と配置換えによる研究実施場所の変更により十分な研究時間を確保できなかったことに加え、2D-DIGEを用いた解析手法が転写因子の同定に不適合であると判断し、TMT解析へと切り替えたことで、ポリフェノールの抗動脈硬化作用に関わる転写因子の網羅的同定の進行に大幅な遅れが生じた。これにより、今年度中に実施する予定であった、網羅的同定結果の妥当性の検証実験と転写因子制御を介した各種ポリフェノールの抗動脈硬化メカニズムの検討実験を次年度実施することになったため、その実験にかかる費用を次年度に繰り越して使用する。
|