2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K17930
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡邉 敬逸 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授(特定教員) (30711147)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 無住化集落 / 資源管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は地形図に記載される地名情報の新旧比較による無住化集落の特定とそのデータベース化を実施した。なお、本研究における集落は、先行研究を踏まえて「字または通称」に相当する地名情報とするが、当該地名が「字または通称」に相当するか否かは精査を必要とするため、新旧比較では現在までに消えている全ての地名情報を抽出した。なお、対象地域は四国4県、対象期間を明治後期から現在までとした。 今年度の結果は次のとおりである。まず、地形図の新旧比較から約7,000の消えた地名情報が抽出された。今後の精査を必要とするものの、この中には相当数の消えた「字または通称」が存在するものと考えられる。次に、本手法の実施過程で、現行の地形図に地名情報が記載されていても無住化が発生している集落が相当数存在していることが明らかになった。そのため、別途、GIS上での現行の地名情報と人口データとのオーバーレイおよび最新の住宅地図での現住確認を行った結果、約500の無住化集落が特定された。いずれの結果もより慎重なデータの精査と現地確認を必要とするが、四国4県では明治期から現在にかけて、少なくとも1,000前後の無住化集落が発生しているものと想定される。 今年度に得られた結果は概算に過ぎないものの、これまで行われてきた無住化集落にかかる公的な調査結果よりも、その集落数は圧倒的に多いと想定される。この結果は、従来指摘されてきた行政によるアンケートを原資料とした無住化集落の把握の限界を改めて示すとともに、無住化集落自体が行政サービスの範疇から外れ、忘却される存在になりつつあることを示している。また、従来の無住化集落の特定については、地理空間データを中心とするアプローチは行われてこなかったが、各種データの充実に伴い、近年に無住化した集落については、概ね把握できることも大きな成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
地形図を用いた地名情報の新旧比較による無住化集落の特定作業の完了を今年度内に予定していたが、消えた地名情報を全て抽出したため、その特定が遅れている。地名情報の精査を早急に進め、無住化集落のデータベースを完成させる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は今年度に得られた無住化集落の実地調査を予定しているが、四国4県には1,000に近い無住化集落が存在することが想定されるため、研究資源および研究期間の限界から、全ての無住化集落の実地調査は不可能である。そこで、次年度以降の実地調査については、対象を愛媛県に限定して実施することとする。
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