2017 Fiscal Year Research-status Report
観光の視点からみた「田園回帰」の特性と若年移住者の定着に関する実証的研究
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17K17931
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井口 梓 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (50552098)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 農村移住 / ライフヒストリー / テキスト分析 / 田舎暮らし |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、縮小する農村社会の対抗策としての「田園回帰」(都市部から農村への若年層を中心とした移住による人口移動)を取り上げ、若年Iターン者の行動パターンや意思決定、価値観(農村観)に着目して、集落文化の担い手となるメカニズムを解明することを目的とする。本研究では、日本で最も多くの若年Iターン者を受け入れている長野県と申請者が位置する四国地方を事例地域として、Iターン者の移住プロセスに着目し、対象者への聞き取り調査に基づくライフヒストリーと語りの分析から解明する。 平成29年度の研究実績は次の通りである。1.愛媛県、高知県、徳島県、香川県の各自治体における農村移住関連の事業主体や田舎暮らし募集に関するホームページ、移住者募集要項、移住キャンペーン用のパンフレット等の資料を収集・テキスト分析を実施し、各自治体の「農村移住」の商品化の特性、「農村移住」の傾向からみた四国地方の空間的な特性を検討した。2.「農村移住」をめぐる社会・経済的な時代背景とその変化を検討するために、月間雑誌(一部季刊)『田舎暮らしの本』の創刊号から現在に至るまでの約30年間について、特集記事、取り上げ事例地域の変化を分析し、全国的な「農村移住」 のブームやイメージを作り出すメディアとその変遷について検討した。3.愛媛県では、しまなみ離島部、松山市の離島部、南予地方の内子町、宇和島市など多くの若いIターン者が集中する地域を重点的に調査を実施し、移住者(自治体が発信する「移住ロールモデル」の若者及び子育て世代)、及び地域おこし協力隊を中心に、ライフヒストリーを収集し、移住に至る経緯、移住先の決定、移住受け入れ地域の支援体制、右傾地域における社会関係の形成、移住後の生活実態等の聞き取り調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
田舎暮らし像や移住イメージの変遷に関する社会的な動向調査、四国地方の各自治体調査、及びライフヒストリーの聞き取り調査はおおむね順調にすすんでいるが、各自治体の聞き取り調査やライフヒストリーの収集に予定より時間を有しているため、やや遅れている長野県の移住調査について次年度以降取り組む。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、愛媛県内でのIターン者の聞き取り調査を継続しつつ、高知県、徳島県、香川県におけるIターン者のライフヒストリーの収集調査、及び長野県内における受け入れ自治体、受け入れ事業主体の「移住」施策の動向調査を計画的に実施する。
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Causes of Carryover |
ライフヒストリーの収集について、当初予定より対象者あたりの時間を要したため、旅費使用が変更となった。ライフヒストリーについては予定より成果を得られたため、次年度は、テープ起こしのための人件費として使用し、発話のテキスト分析を実施する。
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Research Products
(1 results)