2018 Fiscal Year Research-status Report
観光の視点からみた「田園回帰」の特性と若年移住者の定着に関する実証的研究
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17K17931
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
井口 梓 愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (50552098)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 農村移住 / ライブヒストリー / テキスト分析 / 若者 / 田舎暮らし |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、研究目的のうち、(1)全国的な移住動向・「田舎暮らし」の商品化の動向、(2)若者移住者のライフヒストリーの収集と(3)長野県の移住促進事業に関する現地調査を実施した。(1)昨年度から継続していた『田舎暮らし』約300冊(1980年代~2018年の約38年間)について頻出キーワードを用いた共起ネット分析を実施した。『田舎暮らし』の特集記事をもとに農村移住のイメージ、及び「田舎暮らし」の商品化の動向について、その変遷を6時期区分(①1980年代“田舎暮らし”の発生、②1980年代後半“脱都会”ハイブリット田舎人の創出、③1990年代レジャー化する「田舎暮らし」、④1990年代定年・若者の田舎暮らし、⑤1990年代後半ふるさと回帰、⑥2000年代“新・田舎人”の創出、⑦2000年代後半・地域振興連動の田舎暮らしとロールモデルの創造)に大別して整理した。本成果は、観光学術学会(二松学舎大学)にて口頭発表した。(2)若者移住者については、愛媛県今治市の地域おこし協力隊及び大三島の若者移住者(30歳代から40歳代)25名のライフヒストリーを収集しライフパスや移住動機、定住過程の分析を実施した。移住者が多く出店するしまなみマルシェにてアンケート調査を実施し、その結果を踏まえたワークショップを実施した。その結果、地域おこし協力隊の制度転換にともない「集落支援志向型」から「起業志向型」「自己実現型」が増加する傾向にあり、とくにしまなみの島嶼部では飲食や観光事業に関わる「企業志向型」が多いことが特徴である。(3)長野県77自治体における移住促進事業と地域おこし協力隊募集、移住促進住宅、短期移住体験(お試し移住)、空き家ポータルサイトの運営、移住紹介パンフレット・プロモーション活動、移住セミナー・説明会の開催等の実施状況について現地調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
若者移住者のライフヒストリーは、今年度の予定よりも多くの対象者から収集することができ、おおむね順調に進んでいる。また、対象地域のうち、愛媛県、高知県、長野県の移住促進事業に関わる自治体、受け入れ地域の聞き取り調査もおおむね順調に進んでいる。現在、香川県、徳島県の調査の進捗状況が遅れており、次年度は、香川県島嶼部と四国山間部、徳島県の沿岸部自治体の調査を中心に進める予定である。テキスト分析、ライフヒストリーの収集に時間を要しているため、学術論文等の公開も遅れており、最終年度は成果の公開も積極的に取り組む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度まで調査が遅れている自治体は、ライフヒストリーの収集可能な対象者とのコンタクトが困難な状況にあり、次年度は、研究の方向性として「地域おこし協力隊」等の移住制度利用者を中心に研究を展開する予定である。現在、自治体受け入れ窓口とも調整済みである。また、『田舎暮らし』のテキスト分析結果、愛媛県島嶼部の若者のライフヒストリーについては、口頭発表及び学会投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
対象者あたりのライフヒストリーの収集に時間を要したため、出張期間が長くなり、出張回数が少なくなったこと、また隣県の調査(四国内)の調査が中心となったため、旅費の計上が少なくなったため、使用計画を変更した。なお、次年度は長野県、香川県、高知県での調査に重点を置く予定である。
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Research Products
(1 results)