2019 Fiscal Year Research-status Report
肺指向性ナノパーティクルPNAG-DNAワクチンによる肺感染症の発症/重症化予防
Project/Area Number |
17K17950
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
賀来 敬仁 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40770491)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 重症感染症 / 肺炎 / ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
黄色ブドウ球菌ATCC株からcDNAを抽出し、PCRを施行してターゲットとなる領域の増幅産物を得た。その増幅産物を1%agarose gelで電気泳動し、目的とする領域についての増幅産物が得られたことを確認した後に精製を行った。精製後に制限酵素で切断し、プラスミドベクターにライゲーション反応で連結した。大腸菌導入してプラスミドを増幅した。大腸菌から抽出したプラスミドについては、PCRを行い電気泳動でPNAG-DNAを組み込んだプラスミドが増幅されたことを確認した。このPNAG-DNAプラスミドを用いてPNAG-DNAワクチンが生成できた。精製したPNAG-DNAワクチンをESBL-Kpn肺炎マウスモデルに投与したところ、死亡までの平均時間がControlで38.0±4.9時間であったのに対して、PNAG-DNAワクチン投与群では58.0±27.8時間と生存期間を延長できた。今回の検討ではESBL-Kpn肺炎マウスモデルにおいて生存期間を延長したため、ワクチンの投与効果はあったと考えられる。しかし、感染108時間の時点で生存率が0%となったため、救命するまでの効果は認められなかった。マウスに高菌量を投与して作成する肺炎マウスモデルであったことが影響していると考えられたため、マウスへの投与菌量を減らして検討したところ、感染120時間後のcontrolの生存率が12.5%であったのに対してPNAG-DNAワクチン投与群は37.5%と高い生存率を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
黄色ブドウ球菌ATCC株からcDNAを抽出し大腸菌に導入してプラスミドを増幅し、PNAG-DNAプラスミドを用いたPNAG-DNAワクチンの作成は完了している。PNAG-DNAワクチンの作成に時間を要したため、当初の予定よりも進捗はやや遅れているが、精製したPNAG-DNAワクチンをESBL-Kpn肺炎マウスモデルに投与して、肺炎の重症化抑制効果の確認まで完了している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、PNAGワクチンによる重症化抑制の再現性の確認を行っていく方針である。また、他のマウス種や菌種でも同様の効果を示すのかについての検討も行う。PNAGワクチンの体内での動態についてはまだ解明できていないため、ルシフェラーゼ活性をもつPNAGワクチンを作成するなどして、その動態を解明していく必要がある。
|
Causes of Carryover |
臨床、学生教育および初期臨床研修に関連した業務が当初の想定を超えて多忙になったため、本研究を実施する時間が十分に確保できなかった。そのため、当初の計画通りにマウスを使用した実験およびそのデータ解析を実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、マウスからの試料の解析に必要な実験用具およびデータ解析に必要な機器などに使用する予定である。
|