2018 Fiscal Year Research-status Report
仮想通貨をめぐる国際私法・国際取引法上の法的規律方法の探求と通貨法概念の再構築
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17K17955
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松永 詩乃美 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (10456915)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国際私法 / 民法 / 通貨法 / 国際通貨 / 仮想通貨 / フィンテック |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 平成30年度は本研究の2年目にあたるが、本年度の研究機関の大半の時期を育休のため中断せざるを得なかったため、復帰後の研究活動開始後は、昨年度に収集した外国文献(英語文献、中国語文献)を翻訳するなど文献の読み込みを行った。そのほか、リーマンショック後の10年間の国際金融や、現在急速に注目されているFinTechに関するシンポジウムに参加したり、国際金融やフィンテック、国際通貨に関する実務的な文献などから本研究の背景となる経済学や実務のアプローチからの基礎知識の習得などに努めた。 (2) より具体的には、現時点で得られたことは以下のとおりである。国際経済や国際金融の実務に関するシンポジウムや文献をとおして、リーマンショック時に日本のバブル崩壊のクロニクルと海外で生じたリーマンショックに端を発する世界金融危機のクロニクルが非常に似通っていること、それぞれの危機において日銀がどのように対応をしたのか等、本研究の国際金融、国際通貨に関する基礎知識を得た。また、いわゆる仮想通貨は通貨たりえないのではないかといった考えを前提になされた議論は、本科研の目的である、通貨の再定義、仮想通貨をどのようにとらえるかの問題意識に大きな参考となると思われる。 (3) 文献の調査を引き続き行ったが、法学の観点からの新しい文献は前年度同様多くなかった。とりわけ仮想通貨、ビットコイン等については日々状況が変化しているため、本格的な論文執筆は、引き続きあらたな文献を収集しアップデートするとともに、これまで収集した文献を読み、検討を行った後となるが、本年度は、本研究テーマの国際私法上の基本的な位置づけとして関連する契約に関する原稿を執筆した(2019年5月公表予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度末から今年度の大半の期間に産休育休を取得し、研究従事期間が少なかったため、研究計画の進捗が遅れたため。 また、当初予定したよりも、本研究に関する法学からアプローチした文献が公表されていないことも、予定したように研究が進まない要因にもなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、外国での調査を行いたいと考えている。法学の観点からの国際通貨、仮想通貨に関する研究者を見つけることがもしできるならば、情報提供や本研究に関する助言を得たいと考えている。また、これまで収集した文献の読み込みも引き続き行い、それらを整理し、検討を進めて、論文執筆に着手したい。
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Causes of Carryover |
産休(育休)取得により研究計画の進捗が遅れたために生じた未使用額。
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