2021 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of legal discipline in private international law and international trade law concerning virtual currency and reconstruction of the concept of lex monetae
Project/Area Number |
17K17955
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松永 詩乃美 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (10456915)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 国際取引法 / 国際通貨法 / 暗号資産 / 国際金融 |
Outline of Annual Research Achievements |
1本年度の研究の具体的内容 (1)昨年度に予定していた海外調査がコロナウィルスの世界的な感染状況のために実施できなかったため、今年度まで延長をして世界の状況が収束する時期を待っていたが、今年度についても海外渡航がなかなか許されなかったため、海外調査ではなく、国内での文献整理や、2021年5月に大幅に改正された資金決済法について検討を行った。 (2)本研究の目的の一つに通貨概念を再検討することがあるが、昨年度までの検討においては、これまでの文献の分析から、仮想通貨は法定通貨とみることは当初の見立てどおり難しいであろう旨を見立てていたが、資金決済法において、仮想通貨と呼称が暗号資産に名称変更がなされ(今後、暗号資産と呼ぶこととする)、同法による暗号資産に関する定義のうち、これが法定通貨であるか否かについては、法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではないとされることとなった。(3)その上で、暗号資産の法的性質について、これまで収集した国内外の議論や裁判例などについて比較、分析を中心とした検討を行ってきた。
2本研究の意義、重要性 暗号資産については、資金決済法において定義が置かれたことで、日本における一定の法的規律ができたかのように見えるが、このような明文規定で明らかにされているのは、公法的規制にとどまっている。私法の世界において、どのような法的性格を有するかについては、いまだ不明確なところである。暗号資産は、ブロックチェーン技術を用いて応用範囲が拡大することもあるため、法定することが難しい側面がある。国内外で法的議論が一定の見解に定まる状況にもない一方で、国際的な活用も今後ますます活発になることは予想されるため、私法的考察、国際私法上の検討も重要であり、そのような観点から、本研究は、今後のこの分野の法的課題や通貨概念を構築のための検討の基礎となると言える。
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