2019 Fiscal Year Research-status Report
ユーザ・センタード・エンジニアリング教育のための学習効果測定手法の開発
Project/Area Number |
17K17972
|
Research Institution | Osaka University of Arts |
Principal Investigator |
木塚 あゆみ 大阪芸術大学, 芸術学部, 講師 (60510584)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ユーザ・センタード・エンジニアリング / 学習効果測定 / 教育工学 / 情報システム / ワークショップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高度ICT人材のための教育プログラム開発における、ユーザ・センタード・エンジニアリング(UCE)スキルの学習効果測定手法を確立することである。最終年度(当初予定)は、本手法の開発プロセスの明確化と、他大学の人材育成教育プログラムへ適用するためのドキュメント整備に当てられる予定であった。しかし、北海道胆振東部地震により予定が変更になり、2018年度に実施予定だったワークショップの実験と検証を引き続き実施した。具体的には、室蘭工業大学の文科省事業enPiTの枠組みでデザインワークショップを実施した。このワークショップを実施することで、UCEスキルの獲得に必要なデザイン教育が明らかになった。またこれを従来の美術系大学におけるデザイン教育内容と比較し、UCEスキルに対して特徴的なスキルを明らかにした。美術系大学ではデッサンや平面構成などの基礎教育、美術史などの基礎教養、絵画・グラフィック・写真・映像などの専門教育を行うことでデザイナーの育成に貢献している。例えば、美術系大学では精密な描写や的確な平面構成ができることにより、絵画などの専門教育において観察力を磨いている。同様に、精密な描写による外化プロセスや美術史の理解によって発想力を得、それらを下支えにして表現力を磨いている。本研究で実施する教育プログラムでは、このようなデザインの専門教育を学んでいない初学者でもUCEに必要な観察力・発想力・表現力を磨くための道具を提供した。描写力がなくても状況を記録できるスケッチ等である。これらを用いることで、UCEスキル獲得にかかる時間を短縮することができた。美術系大学の教育と比較することで、デザイナーにも伝わりやすい文脈で学習効果測定手法を伝えられるようになった。今後はこれらを他大学の教員でも分かりやすく、同様のものを実施できるようなドキュメントを作成する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にて述べたとおり、学習効果測定手法を明らかにすることができた。今年度は他大学の人材育成教育プログラムへも適用できるよう、開発手法ドキュメントを整備する。具体的には、印刷して閲覧しやすくするために数冊の冊子化、それをPDFにしてWebサイト等で公開する予定である。当初予期していなかったこととして、新型コロナウイルスによる影響がある。ソーシャルディスタンスが求められる状況では、当初想定していたデザインワークショップが実施できなくなった。本研究でもできる限りアフターコロナでも実施できるようなデザインワークショップの形式を模索したい。その他、予期しない状況になった場合は、現在までにまとまっている知見をもとにドキュメントとしてまとめ、公開することとする。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は予定通り、これまでに得られた知見をもとに、他大学の教員でもUCEスキルが身につくデザインワークショップを実施できるようなドキュメントを作成する。 新型コロナウイルスによる影響を考慮し、8-10月にはソーシャルディスタンスに配慮したUCEスキルが身につくワークショップを実施し、得られた知見をまとめる。
|
Causes of Carryover |
2018年度に実施する予定だったワークショップが北海道胆振東部地震で中止となり、それ以降の研究計画が見直しとなったため。これにともない当初計画を変更するのに時間がかかってしまったため、次年度使用額が生じた。
|