2017 Fiscal Year Research-status Report
間欠的な空気圧迫による末梢循環の促進効果は腰背部の血流改善にまで波及するか?
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17K17976
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
漆畑 俊哉 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (40610994)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 近赤外線分光法 / 間欠的空気圧迫法 / 血流動態 / 腰部 / 体循環 / 物理療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では腰仙部に分布する浅層血流に焦点を当てて、下肢の間欠的加圧と腰背部の血流動態との関連を明らかにし、新たな治療法を展開するための基盤研究である。我が国の高齢人口の増加を踏まえると、今後も血管障害を内因した腰痛症の患者数は増加が予想され、腰痛症と血行動態との解明は非常に有益であると思われる。 平成29年度は、下肢への間欠的空気加圧による腰部浅層の近赤外線による血流動態を広範囲で記録するために、腰部長軸の方向で多点計測可能なセンサ貼付シートを自作した。また、シート表面と腰部皮膚面との貼付が計測時に密着した条件を確保するための貼付方法を試行錯誤した。健常成人を対象に間欠的空気圧迫装置による遠位部から近位部へ漸増的に加圧する様式と遠位部と近位部とを同時加圧する様式の2種類を選択し、同一時間で実施前後における腰部浅層の血流動態を連続記録した。血流動態の記録位置は先行研究を参考に決定した。また、2種類の加圧様式の実施前後による全身循環を明らかとするために、心拍数、血圧、酸素飽和濃度、腰部皮膚温を同時計測した。 腰部浅層の血流動態は、2種類の加圧様式による加圧・減圧に同期した周期変化をいずれの加圧様式でも確認できた。実施前後の血流変化では実施後で有意に増加し、終了後5分前後までの持続効果を確認した。ただし、個々の計測点では個人差がみられており、この点については現在も解析中である。また、全身循環視標では心拍数、血圧、酸素飽和濃度の変化は実施前後で有意に変化せず、表在・深部における腰部皮膚温の上昇を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腰部浅層の血流動態は、計測時にセンサシート表面と腰部皮膚面が密着させる必要があり、当初予定の方法ではシート表面と腰背部の接着が持続せず、貼付確認までに多大な時間を要した。そのため、下肢への加圧周期に同期した腰部の血行動態を確認し、加圧様式による差異は検討できたが、当初の加圧強度や加圧範囲の検討には至っていないため、区分(3)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
貼付作業は貼付肢位や接着材質の工夫により、現在は大幅な時間短縮を実現した。平成30年度は、未検討であった加圧の強度や加圧の範囲による腰部浅層の血流動態への影響についての実験を行う。また、間欠的空気圧迫による腰部の血流増加は腰部に限局した変化であるかについて、腰部と他の体節との同時計測で新たに検証する。間欠的空気圧迫の加圧条件を上記課題で確定し、当初計画した温熱刺激との比較実験に移行する予定である。実施前後の皮膚温変化については、加圧強度や温熱刺激との比較を実施した上で結論づける予定である。
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Causes of Carryover |
繰越した研究予算について、近赤外分光録装置の購入では計測上の問題で別途ケーブル購入が必要となり、当初の見込額よりも高額となった。これに伴い、当初予定した間欠的空気圧迫装置の購入を見合わせて、既存の仕様機器での実験に計画変更したためである。平成30年度は翌年度に割当てた研究費と合わせ、同性能の間欠的空気圧迫装置、消耗品の物品費として計上する予定である。旅費、謝金、その他の直接経費は計画通りに執行する予定である。
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