2017 Fiscal Year Research-status Report
Identifying ubiquitous genomic enhancer elements required for epithelial differentiation
Project/Area Number |
17K17978
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
杉本 幸太郎 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (40791009)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | エンハンサー / 核内受容体 / 上皮分化 / レチノイン酸 / 細胞接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮分化を制御する普遍的エンハンサーの同定に先立ち、申請者らが取り組んできたクローディンシグナルに端を発する上皮分化誘導シグナルの全容を明らかにするべく研究を推進した。本研究課題を開始した時点でクローディン接着シグナルがレチノイン酸受容体(RAR)に帰着するという結果を得ていたため、それが具体的にどのような機構によるものかを探索した。まず各種阻害剤を用いて検討し、上皮分化誘導シグナルにはAKTが関与するという結果を得た。続いてバイオインフォマティクスによりRARのAKT依存的セリンリン酸化残基を推定し、抽出された8箇所全てにおいてアラニン置換によるリン酸化不応体を作成した。これらのクローンに対してクローディン発現により上皮分化を誘導したところ、X番目のセリン・アラニン置換体では上皮分化が全く観察されず、そのセリン残基が上皮分化誘導に必須であることが明らかとなった。驚くべきことにこのセリン残基は脊椎動物から無脊椎動物まで左右対称動物の間で種を越えて広く保存されており、さらには他の核内受容体スーパーファミリーにも分布していた。以上より本研究課題において同定しようとするエンハンサー配列は、このセリン・リン酸化を受けたRARが転写因子複合体のコアとなって結合している可能性が推察された。 また本研究では将来的にTALEN法を用いたエンハンサーの改変による機能欠失を予定しているが、それと技術的に関連して、TALEN法を用いた成体ゼブラフィッシュで機能するコンディショナルノックアウト法を世界に先駆けて発表した(Sugimoto et al., 2017a)。また申請者がTALEN法により遺伝子ノックアウトした動物モデルを使用した複数の研究が発表された(Sugimoto et al., 2017b; Shi et al., 2017; Hui et al., 2017)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず本研究課題を開始するに先立ち、細胞接着複合体に起因する上皮分化シグナルが、レチノイン酸受容体のセリン残基をリン酸化し、リガンド非依存性に活性化させることを見いだした。 続いてCldn6のプロモーター領域に着目して上皮分化エンハンサーを同定すべく、ルシフェラーゼ発現アッセイとクロマチン免疫沈降の実験系を当研究室において確立した。またTALENおよびCRISPRによるゲノム編集ならびにバイオインフォマティクスによるゲノムワイドな解析系も当研究室において確立した。 実際のエンハンサー候補配列については、十分条件となる約10 kbの領域は確定されたが、その中で必要条件を満たす最低限の領域を同定するには至っていない。今後さらに当該領域を細かく分割してクローニングすることでエンハンサー候補配列を同定する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の完遂に先駆けて、まずは上記の通り同定した新規のRAR活性化機構とそれによる上皮分化機構について論文を投稿予定である。 本研究課題の遂行にあたっては、当初平成29年度に予定していた計画のうち達成されていない箇所を優先的に進め、上皮分化エンハンサー候補を同定する。続いて当初平成30年度の研究計画としていた上皮分化エンハンサーの一般化を進める。
|
Causes of Carryover |
1万円未満の端数であり、翌年度の物品費として使用する。
|
Research Products
(9 results)