2017 Fiscal Year Research-status Report
The significance of high claudin expression in ovarian cancer
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17K17981
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小島 学 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (30746970)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞間接着分子 / クローディン / 核内受容体 / エストロゲンレセプター / 子宮内膜癌 / 卵巣癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌の臨床検体を用いてクローディン6高発現と臨床病理学的因子との関連を検討した。卵巣癌では有意差がでなかったため今後は県内関連施設の協力を得て症例数を増やし、組織型やステージごとのサブ解析を行っていく予定である。なお子宮内膜癌においてクローディン6高発現群対低発現群で検討したところ5年生存は89%対30%と顕著な差を認めていた。また予後と関連する各臨床病理学的因子とも強い関連性を認めた。クローディン6高発現は他のどの臨床病理学的因子よりも強く生命予後の悪化に寄与していた。クローディン6高発現による子宮内膜癌の悪性形質増強機構を明らかにするため、子宮内膜癌細胞にクローディン6を過剰発現させた細胞株をECC-1細胞にクローディン6をコードする遺伝子をレンチウイルスベクターを用いて導入することにより樹立した。これと親株の悪性形質を比較したところクローディン6過剰発現株において増殖能と遊走能が有意に亢進していることが確認された。また免疫不全マウスを用いてin vivoでも検討したところ、クローディン6過剰発現株において形成された腫瘍のサイズは有意に大きかった。よって臨床検体における結果は細胞株実験においても裏付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
卵巣癌については臨床データでクローディン6高発現群と低発現群の間で予後などの臨床病理学的因子に有意差が生じなかった。そのため症例数を増やして再検討が必要でありその後に得られた知見を分子生物学的に検討していく。同時に行っている子宮内膜癌の細胞株実験では臨床データを裏付ける結果が得られている。われわれはクローディン6がエストロゲンレセプターとクロストークしてがん細胞の悪性形質を増強させるという仮説をもとに研究を進めている。それを実証するためにエストロゲンレセプターの発現をコードする遺伝子であるESR1のノックアウト細胞株を樹立し、悪性形質の比較を改めて行った。結果はクローディン6過剰発現株で亢進した増殖遊走能のいずれもESR1ノックアウト細胞株においてはリバースされるというものであった。RT-PCRでは癌の悪性形質増強に関わる遺伝子の発現がクローディン6過剰発現株においては亢進していることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はエストロゲンレセプターとクローディン6がどのようにクロストークして細胞株の悪性形質を増強しているかを明らかにしていく。現在、各種プロテインキナーゼの活性化(SFK/PI3K/Akt/mTOR/S6K)をウエスタンブロッティングで解析している。またエストロゲンレセプターのリン酸化部位の同定も進める。その後、変異体を作成し過剰なクローディン6シグナルによる悪性形質増強に必須のエストロゲンレセプター標的遺伝子を同定する。
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Causes of Carryover |
卵巣癌のクローディン6高発現による予後への影響が判明した場合には細胞株実験に移行し悪性形質増悪機構を解明すべくクローディン6過剰発現株の作製を行う。さらに親株と増殖・浸潤・遊走アッセイを行う。RNAシークエンスでクローディン6過剰発現により誘導される遺伝子群を検出し、クローディン6による腫瘍悪性化機構を考察する。細胞株は複数種類において検討する予定であり、ECC-1以外の細胞株においてもクローディン6過剰発現株を作製して各種検討を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)