2017 Fiscal Year Research-status Report
Clinical relevance of dietary flavonoid-drug interactions.
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17K17983
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
三坂 眞元 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (10583635)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 薬食相互作用 / 食事性フラボノイド / 薬物トランスポーター / 薬物動態 / 臨床試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、緑茶カテキンを含む食事性フラボノイドが水溶性薬物の小腸上皮細胞における膜透過を制御することにより相互作用を起こすとの仮説に基づき、基礎実験ならびに臨床試験を実施し多角的なアプローチにより検証を試みるとともに、食事性フラボノイドと水溶性薬物との相互作用の臨床的意義を評価すること、およびその評価法を確立することを目的とする。 これまでの研究から、エピガロカテキンガレート(EGCG)は緑茶と水溶性アドレナリンβ受容体遮断薬ナドロールの薬物動態学的相互作用に関与しており、健常人においてEGCGまたは市販の茶葉から煎れた緑茶は単回併用時においてもナドロールの血中濃度を有意に低下させることが示された。一方、EGCGはナドロールの腎排泄に影響しなかったことから、相互作用の機序として緑茶およびEGCGによるナドロールの消化管吸収抑制が示唆された。 興味深いことに、緑茶を飲用した後、1時間はナドロールの体内動態への緑茶の影響が持続することが明らかとなった。さらにEGCGの摂取量が市販されている通常のペットボトル緑茶に含まれる量であってもナドロールの体内動態に影響することから、少なくともナドロールを用いた薬物治療中において緑茶の摂取は避けるべきであると考察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画のうち、EGCGと水溶性薬物の相互作用を調べる臨床研究は2つの臨床試験について試験を完了した。現在、そのうち1つについては論文執筆中であり、もう1つについては薬物血中濃度を解析中である。In vitro薬物輸送実験についてはナドロールに加えて新たな候補薬物を選定するとともに、対象とする薬物トランスポーターを決定し予備検討を始める予定である。食事性フラボノイドの血中および尿中濃度を測定し、これらの体内動態すなわちニュートリキネティクスを明らかにする研究計画については、現在までにEGCGの血中濃度測定法は確立し、ケルセチンについては検討中である。またこれらの臨床試験については現在試験計画を策定しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに終了した臨床試験について、薬物血中濃度の測定およびデータの解析を完了させるとともに研究成果の学会および論文発表を目指す。また相互作用のメカニズムを解明するためのin vitro実験を実施する。さらに、相互作用を調べる水溶性薬物としてフェキソフェナジンを追加し、緑茶やEGCGと相互作用について基礎および臨床試験により検討する。食事性フラボノイドについてはEGCGに加えてケルセチンを、また食事性アルカロイドとしてピペリンを研究対象としてこれらによる薬食相互作用の可能性を検証することとする。
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Research Products
(3 results)