2017 Fiscal Year Research-status Report
ハエ雄外部生殖器構造の多様化過程で起きた発生遺伝子ネットワークの変化
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17K17985
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田中 健太郎 首都大学東京, 理学研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD) (30774129)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ショウジョウバエ / 雄外部生殖器 / 形態進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
進化の過程において新しい機能を担うユニークな形態構造が出現し,その後に種固有の進化を遂げることは珍しく無い。例えばキイロショウジョウバエ種亜群の共通祖先で出現した外部生殖器後葉は交尾の際に雌の腹部を固定するために使われる,新たな機能を持った雄固有の構造であり,種間でその形態は如実に異なる。構造が種固有の形態へ進化する際,発生遺伝子ネットワーク上に起こる変化は,“新しい遺伝子が組み込まれることで起こる変化”と“既にネットワークを形成している遺伝子が改変されて起こる変化”の2通りが考えられる。後者を進化発生学的視点から分類すると,“構造の出現の際に組み込まれた遺伝子”と“構造の出現以前からネットワークを形成していた遺伝子”に更に大別できる。本研究では、キイロショウジョウバエ種亜群における外部生殖器後葉の形態進化をモデルに,構造の多様化の段階でみられる発生遺伝子ネットワーク上の変化の解明を目指している。このために,先ずは外部生殖器後葉の多様化に関わる遺伝子の同定を推めており、本年度は種間発現変動遺伝子をリストアップすべく外部生殖器後葉特異的にRNAを抽出する手法の確立を試みた。具体的には,外部生殖器後葉特異的GAL4系統とレポーター蛋白を発現する系統を組合せることで,外部生殖器後葉細胞からRNAを抽出する方法である。これまでにオナジショウジョウバエ及びモーリシャスショウジョウバエにおいてこれら系統の作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では既存の外部生殖器後葉特異的GAL4系統を用いて解析をおこなう予定であったが、既存の系統を詳細に調べたところ導入遺伝子が組み込まれた近傍に外部生殖器後葉の発生にか関わる遺伝子が存在し,その遺伝子の発現が変化することで形態異常が起こっていることが分かった。そのため,新たにGAL系統を作成する必要があったため,当初予定していたRNA-seqを本年度中におこなうことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は作成した遺伝子組み換え系統と用い,RNA-seq遺伝子発現解析をおこなう。
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Causes of Carryover |
計画の遅れにより次世代シーケンサーを用いた解析まで到達できなかったため,その分、次年度使用額が生じた。今後、次世代シーケンサーを用いた解析をおこなううことで差額が解消される予定である。
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