2017 Fiscal Year Research-status Report
遺伝学とプロテオミクス解析の融合によるコヒーシン制御ネットワークの解明
Project/Area Number |
17K17986
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
阿部 拓也 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (50779999)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DT40 / コヒーシン / ESCO1 / ESCO2 / WAPL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はコヒーシン複合体及び関連タンパク質の機能とその制御因子の探索を行おうとするもので、多重遺伝子欠損細胞を用いた遺伝学、質量分析を用いたプロテオミクスの二つのアプローチを用いた。
1) 遺伝学解析;遺伝学的な解析としてはESCO1/ESCO2/WAPLの三重条件欠損細胞を作製することで、ESCO1/ESCO2二重欠損細胞の致死性がWAPLの欠損によって抑制されないことを見出した。これは酵母のホモログであるECO1/WPLで得られていた知見とは異なるものであり、高等真核生物のESCO1/ESCO2の機能が単にWAPLに対する拮抗だけではないことを明確に示すことができた。本研究結果は2017年11月にGenes & Development誌で発表した。
2) プロテオミクス解析;平成29年度はニワトリDT40細胞のコヒーシンサブユニット、RAD21にMyc-FLAG-HAタグを付加し、2段階の免疫沈降によりコヒーシン複合体を精製した。質量分析装置を用いてコヒーシン結合タンパク質の同定を行ったところ、新規コヒーシン結合タンパク質として、クロマチンリモデラータンパク質を同定した。さらに、オーキシンデグロンシステムによって、そのクロマチンリモデラーの条件欠損細胞を作製することに成功した。今後、この条件欠損細胞の解析を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ESCO1/ESCO2/WAPL 三重条件欠損細胞の解析で高等真核生物に特異的なESCO1/ESCO2の機能を示すことが出来た。しかしながら、申請書で記述したコヒーシンとインナーセントロメア因子の関係に関しては様々な遺伝子変異細胞を用いて関係性を証明しようとしたものの、現在までにポジティブな成果は得られていない。またプロテオミクス解析においては、新規コヒーシン結合タンパク質の同定には成功したものの、コヒーシン制御因子の欠損細胞でコヒーシン複合体の構成がどのように変化するか、という当初の目標に関してはポジティブな結果が得られていない。実験の進捗自体は順調であるものの予想通りの結果が得られていないというのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
ESCO1/ESCO2だけでなく、様々なコヒーシン制御因子の欠損細胞の表現型 (コヒーションの異常や致死性) がWAPLの欠損によって抑制されるのかどうかを確認していく。また新規コヒーシン結合因子の欠損細胞の解析を進めていく。これまでの実験はニワトリDT40細胞で行ったものであるが、得られた結果がヒト細胞でも同じであるかどうかをヒトTK6細胞を用いて検証する。
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Research Products
(3 results)