2019 Fiscal Year Annual Research Report
How to promote multicultural contacts and social participation: focusing on the local governments' policies and local communities
Project/Area Number |
17K17987
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大槻 茂実 順天堂大学, 国際教養学部, 准教授 (20589022)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多文化共生 / 基礎自治体 / 量的調査 / 庁内連携 / 非多文化 / 相互交流 / 社会の質 / 行政施策 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度はこれまでの知見を土台として、基礎自治体を対象とした量的調査を実施した。具体的には、東京都(島嶼部を除く)、神奈川県、千葉県、埼玉県の基礎自治体に対する郵送形式の質問紙調査を実施した。対象自治体数は合計で204である。実査は2019年10月末~2019年12月初頭の期間に行った。ただし、いくつかの調査票は調査期間を過ぎた後に回収した。調査時期については、前年度における東京市町村自治調査会での聞き取り調査での知見をベースに設定を行った。有効回答数は112自治体であり、回収率54.9%である。従来の社会学における多文化共生への着目は住民を対象とした社会調査、人材派遣会社をはじめとした企業調査、萌芽的な試みに焦点を定めた行政施策の事例調査など主であり、行政組織に対する量的調査といった視点は皆無であった。その意味で、基礎自治体を対象とした量的調査を行った本研究は独自性の高い研究内容であったと考えられる。 本調査の調査票に記載された質問項目は多岐にわたるが、焦点は日本人住民と外国人住民の相互交流の促進施策(=多文化共生施策)の成立要件への着目である。調査の結果、以下の点が明らかとなった。第一に、自治体によってすすめられる多文化共生施策は予算、人員、専門性といった点で課題を抱えていることが判明した。第二に、各住民参加策に関する庁内連携に関する課題である。本調査の分析結果を通して、多くの自治体の多文化共生に関する施策は「多文化的」施策としてそれ単独に終始しており、例えば高齢者の地域参加といった「非多文化的」施策とは積極的な連携がなされていないことが明らかとなった。第二の知見については、共助に関する施策の実施に向けて、庁内再編あるいは庁内連携といった組織配置的な問題の解決を通して施策成果の向上の可能性を示したと解釈することができる。
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