2019 Fiscal Year Research-status Report
新生仔期NMDA受容体遮断がラットの時間知覚に及ぼす影響の神経メカニズム解明
Project/Area Number |
17K17992
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
新倉 怜 横浜市立大学, 医学研究科, 特任助教 (70760750)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 時間知覚 / NMDA受容体 / 新生仔期 / ラット / オペラント条件づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,統合失調症の動物モデルであるN-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体遮断ラットにおける時間知覚の異常に関与する神経回路を同定することを目的としている。 当該年度は,オペラント条件づけを用いた行動実験と並行して同ラットの脳組織切片を用いた免疫組織化学染色を主として行った。新生仔期NMDA受容体遮断ラットは統制群と比べて,オペラント条件づけにおけるレバー押し行動形成が遅延する傾向が認められたが,統計的な有意差は認められなかった。レバー押し行動形成中の神経細胞の活動を比較するため,レバー押し行動形成中のラットの脳を還流固定して摘出し,パラフィン切片を作成し,抗c-Fos抗体を1次抗体に用いたDAB染色を実施した。また並行して,ドーパミン作動性神経の組織学的検索のため抗チロシンヒドロキシラーゼ(TH)抗体を用いた免疫組織化学染色を実施した。前頭前野,線条体,海馬,黒質,腹側被蓋野を対象に比較したが,当該年度の研究では当初期待した新生仔期NMDA受容体遮断ラットと統制群のレバー押し行動形成中のc-Fos陽性細胞,TH陽性細胞数に有意差は認められなかった。現在,時間知覚課題中のラットに対する同様の組織学的検索を実施中である。また,c-Fos抗体による検出が困難なため,当初の計画通り,抗p-CREB抗体による免疫組織化学染色を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2017年度の行動実験立ち上げに際しての遅れの影響による。 また,組織学的検索において当初期待していた結果が得られなかったため,この対策に時間を要した。まず,検定力不足が考えられたため,サンプル数の増加を実施した。次に,抗p-CREB抗体を用いた免疫組織化学染色を実施するため,その最適パラメータ策定に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
時間知覚課題遂行中の新生仔期NMDA受容体遮断ラットにおいて特異的に変化する脳の活動領域を,抗p-CREB抗体を用いて特定する。その後,当初の計画通り,マイクロダイアリシス法を用いて特定された領域の神経伝達物質の計量を行う。免疫組織化学的手法で新生仔期NMDA受容体遮断による神経細胞の活性化に差が認められない場合も,時間知覚に重要な役割を果たしていると考えられている前頭前野,線条体における神経伝達物質の定量を行う。
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Causes of Carryover |
初年度に購入を予定していたMED社製オペラントビヘイビアテストパッケージ(MED-008-D1)は仕様上本研究に最適な構成でない部分が見つかったため,同社の製品をパッケージではなく,必要なパーツを組み合わせた形で購入したので購入費が少なく済んだ。
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