2021 Fiscal Year Research-status Report
新生仔期NMDA受容体遮断がラットの時間知覚に及ぼす影響の神経メカニズム解明
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17K17992
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
新倉 怜 横浜市立大学, 医学研究科, 特任助教 (70760750)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 時間知覚 / NMDA受容体 / 新生仔期 / ラット / オペラント条件づけ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、統合失調症の動物モデルである新生仔期N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体遮断ラットにおける時間知覚の異常に関与する神経回路を同定することを目的としている。 当該年度は、動物が長短2種類の時間刺激を区別する能力と長短の刺激の主観的二等分点を評価する間隔二等分課題と、動物が一定の時間間隔を量り取る能力を評価するピークインターバル課題の2種類の時間知覚課題を実施した。また、新生仔期NMDA受容体遮断が課題遂行中の活動に影響する脳部位を同定するため、課題開始90分後の脳組織切片を作成し、抗p-CREB抗体による免疫組織化学染色を実施した。また、時間知覚には皮質-線条体経路の適切なドーパミン(DA)活動が重要と考えられることから、DAの起始核である腹側被蓋野、黒質緻密部と、その主な投射先である線条体、内側前頭前野、前帯状皮質におけるDA生合成の律速酵素であるtyrosine hydroxylase(TH)とDAの細胞内への取り込みを担うdopamine transporter(DAT)の評価を実施した。 間隔二等分課題において新生仔期NMDA受容体遮断ラットは、統制群と変わらない時間弁別を示した。一方で、長短の中間刺激を提示した場合、新生仔期NMDA受容体遮断ラットは統制群よりも時間を過大評価する傾向が認められた。ピークインターバル課題において、刺激時間の長短に関わらず、新生仔期NMDA受容体遮断ラットの反応回数が統制群よりも多くなる傾向が認められた。組織学的検索において、時間知覚課題遂行中のp-CREB陽性細胞数に有意な群間差は認められなかった。その一方で、新生仔期NMDA受容体遮断ラットは統制群と比べて黒質緻密部におけるTH陽性細胞数の減少、背側線条体におけるDATの増加傾向が認められた。さらに、前帯状皮質におけるTHとDATの増加傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2017年度の行動実験立ち上げに際しての遅れの影響による。また、免疫組織化学的検索において、時間知覚課題遂行中の脳活動の評価に関して当初期待していた結果が得られなかったため、この対策として時間知覚に決定的な役割を果たしていると考えられるDA神経系の評価を実施したために時間を要した。また、前年度、当該年度においては、新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言およびまん延防止等重点措置によって実験の中断・遅延を余儀なくされ、研究を計画通りに実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に実施した免疫組織化学的検索によって、新生仔期NMDA受容体遮断がDA神経系に変化を引き起こすことが明らかとなった。特に、DAの起始核のひとつである黒質緻密部においてDA生合成の律速酵素であるTHが変化しており、更にその主な投射先である背側線条体においてDA再取り込みを担うDATの増加傾向が認められたことから、次年度は、マイクロダイアリシス法を用いて、時間知覚課題遂行中のラットの背側線条体におけるDAを中心とした神経伝達物質の定量を実施する。更に、DAの作動薬もしくは拮抗薬の全身投与、あるいはマイクロダイアリシス法を利用した背側線条体への局所投与を行うことで、時間知覚課題のパフォーマンスが是正されるかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
初年度に購入を予定していたMED社製オペラントビヘイビアテストパッケージは、仕様上研究に最適な構成でない部分が見つかったため、同社の製品をパッケージではなく必要なパーツのみを購入し、残りを自作したため購入費が少なく済んだ。また、先年度、新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受けて実験に大幅な遅れが生じたので、当初の予定よりも実験動物購入費や抗体、マイクロダイアリシス用のプローブなど消耗品の購入費が少なかった。 次年度は、実験動物やマイクロダイアリシス法に用いる消耗品の購入、および、研究報告のための学術雑誌への投稿費用等の使用を予定している。
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Research Products
(1 results)