2020 Fiscal Year Research-status Report
スマートフォンアプリを用いた歩行中の注意機能評価による効果的な転倒予防戦略
Project/Area Number |
17K17995
|
Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
鈴木 智高 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (00576382)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 注意 / 歩行 / 反応時間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、主たる課題に伴う注意需要の変化を簡便に評価することができるAndroid版スマートフォンアプリケーションを開発し、課題実行中、特に歩行中の注意機能の変化を評価してきた。これまで得た研究成果から、注意需要の変化と同時に測定された歩行速度の変化が強く関連している可能性が示唆された。 これらの関係性をより明らかにするため、運動課題の難易度変化に伴う注意需要と歩行速度の変化について実験を行い、得られたデータの解析を終了した。 解析の結果、模擬的に作成されたわずかな脚長差であっても反応時間の延長が認められた。ヒトの二足歩行は左右対称性のある交互運動が周期的に繰り返される。これらは高度に自動化されてはいるものの、わずかな注意需要が生じている。さらにその対称性がわずかでも損なわれることで、注意需要の増加が生じることが明らかとなった。ケイデンスの解析結果は、反応時間と類似したものであり、非対称性の増加に伴いケイデンスの低下が生じていた。これらの結果に関して、現在論文作成段階にある。 上記実験では運動課題を操作したが、現在は認知課題を操作する実験を進行している。これまで歩行評価に関しては歩行に要した時間をマニュアルで測定し速度を算出するのみであった。そこで課題実行に伴う歩行制御の変動をより詳細に明らかにするため、簡便な歩行解析システムを導入した。これにより、速度だけではなく、歩幅、一歩に要した時間、ケイデンス等の変動を分析することが可能となる。これらのデータから、歩行中の注意需要変化と歩行パラメータの変化との関連性を明らかにすることで、転倒予防戦略に寄与する知見を得ることが目標である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの蔓延および緊急事態宣言発出に対応する所属内業務により遅れが生じている。既に収集した研究データに対する解析は行うことができたが、入構規制の影響により予定していた研究課題の準備と実施を進めることが困難であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
進行中の研究課題に関して、今年度計画していたものと変更はない。引き続き注意需要と歩行速度変化の関連性を明らかにしていく。歩行の左右対称性と注意需要の関連性についての研究課題に関しては、論文の作成を行い、投稿を行う。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスによる影響への対応から、計測を実施することが困難であり、消耗品や謝金等が発生しなかった。次年度はこれらの支出が見込まれる。加えて、開発したアプリが現行機種におけるAndroid OSのバージョンに対応できなくなっていることから、メンテナンスの必要性が生じている。論文作成中の研究課題に関しては英文校正費が生じる、また、投稿時には公開にかかる費用が発生する可能性がある。学会における研究成果の発表時には参加費の支出が見込まれ、対面で開催される場合には旅費が必要となる。
|