2017 Fiscal Year Research-status Report
Screening of aldoxime dehydratase with broad substrate specificity for nitrile synthesishesis
Project/Area Number |
17K17996
|
Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
松井 大亮 富山県立大学, 工学部, 助教 (40748513)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | アルドキシム脱水酵素 / アルドキシム-ニトリル経路 / ニトリラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
1. Bacillus sp. OxdB-1由来アルドキシム脱水酵素とニトリラーゼ遺伝子を共発現する大腸菌形質転換株を作成した。その株を用いて、フェニルアセトアルドキシムを唯一の窒素源とする培地での生育試験を行い、生育の良い条件(0.5 mM IPTG及び0.5 mM フェニルアセトアルドキシムを添加したM9改変培地)を設定した。二つの遺伝子を発現できるpETDuetベクターでも検討を行ったが、二つの発現プラスミドを用いた場合の方が効果的であることが明らかとなった。 2. ニトリル化合物を生合成する植物の表面から微生物を単離し、その一部の微生物にアルドキシム脱水酵素活性を有していることを確認した。そこでその表面の微生物からゲノムを抽出し、発現プラスミドに挿入し、ニトリラーゼ遺伝子とともに共発現株を作成した。上記1で設定した培養条件で生育させることにより、2種類のアルドキシム脱水酵素活性を持つ遺伝子配列を取得した。それぞれの配列はともにPseudomonas属由来のアルドキシム脱水酵素と高い相同性を示した。異なる生物種からの酵素取得を目的として、様々な環境から取得したサンプルからメタゲノムを抽出し、同様の手法でのアルドキシム脱水酵素活性を有する酵素遺伝子の取得を検討している。 3. 2,2-ジフェニルアセトアルドキシムの合成を実施し、またPseudomonas、Bacillus、Rhodococcus由来の既知のアルドキシム脱水酵素の変異ライブラリーを調製した。現在、合成した化合物を唯一の窒素源とした生育条件で、基質特異性の異なる変異型酵素の取得について検討している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. アルドキシム脱水酵素遺伝子とニトリラーゼ遺伝子を組み合わせることで、フェニルアセトアルドキシムを唯一の窒素源とした培地で生育可能であり、また自然界から新たなアルドキシム脱水酵素遺伝子を得ており、本研究で作成したスクリーニング系がアルドキシム脱水酵素の単離に成功した。しかし、様々な微生物種の多くの配列を取得出来ているわけではないため、スクリーニングの継続と、培養条件を一部変更する必要がある。 2. 得られたアルドキシム脱水酵素活性を有する生物のゲノム解析を実施し、それらの有するニトリラーゼ配列なども明らかにしている。幅広い生物種でアルドキシム脱水酵素遺伝子を単離することができれば、多くのニトリル代謝経路を明らかにすることができ、さらに酵素法によるニトリル合成が可能となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 本研究で得られたOxdや所属する研究室が見出したRhodococcus sp. N-771のOxd、Bacillus sp. OxdB-1由来のOxdB、Pseudomonas chlororaphis B23のOxdAをコードする遺伝子配列に変異導入し、構造上かさ高い2,2-ジフェニルアセトアルドキシムを用いて探索した後に、その他の2-フェニルプロピオンアルドキシムなどを基質とした際の活性を示す変異型酵素を取得する。 2. 高速液体クロマトグラフィーを用いて、得られる生成物の立体異性体を明らかにする。酵素の基質特性、安定性、最適温度などの諸性質を明らかにした上で、光学活性ニトリルの合成に適用する。
|
Causes of Carryover |
(理由)消耗品費を節約できたことから次年度に資金を繰り越すことができた。
(使用計画)次年度は国内外での会議の旅費を使用する計画である。平成29年度において、節約できた消耗品費についても、次年度に一層研究を活発化する計画であるので、大いに利用させていただく。
|